タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/05/30


 どうせ無駄な挑戦なんだろうなと思いつつ、かつん、と甲板に足を進めた。瞬間、やっぱり思った通り青い膜が辺りを包んで鈍い音と不思議な浮遊感と共に白く清潔で柔らかなベッドへ体が落ちる。ため息をつきながら横を向けば、私よりも深いため息をついて私を睨み付けるローが椅子に座っていた。

「こういうのなんて言うか知ってる? 監禁って言うんだよ」
「患者の脱走を医者が止めて何が悪い」

 眉間の皺が深まってため息をつかれるけど、ローにため息をつかれる筋合いはない。

「患者?」
「患者だろ」
「これが?」

 今現在私の体に傷がついているのはここだけだ。人差し指を突き出してローを指さす。ああ、とふんぞりかえって頷くローに眉根を寄せる。これが? もう一度同じことを聞いても、全治二週間だな、と神妙そうに頷かれるだけ。

「よく見て」
「見てる」
「人差し指を紙で切っただけの傷、怪我なんて言わない。職権濫用の監禁だよ」
「傷を甘く見るなよ、どんな擦り傷でも処置を怠れば腐り落ちることだってある。お前もこの船のクルーならわかるだろ」

 苛立ちを抑えきれなくなってベッドから降りてローに詰め寄ろうとしたのに、とうとう一歩床に足をつけただけで青い膜に包まれてまたベッドへ横たわっている。ぎぃ、と喉の奥で苛立った呻き声を立てて、ローを睨みつけることだけは忘れない。そりゃあちゃんとしなければそうなることだってある。でもそんなことはローの言った通りこの船のクルーなんだから当たり前に知っているし、ちゃんと消毒して大袈裟に包帯まで巻かれてる。これ以上悪くなることなんてない。まして足を骨折したわけでもないのに行動を制限される謂れもない。なのに監禁まがいのことをするキャプテンに頭を抱えて今日一番のため息をつく。

「安静にしてろ」

 何を言ってもあの能力を出されてしまえば私には勝ち目がなくて、せめてもの反抗に顔を枕に押し付けて顔を隠すことしかできなかった。