動き出す歯車
「ジン…ウォッカ、キャンティ、コルン…キールはこっち側だとして…ベルモットと新たな組織のメンバーであるバーボン…いやぁこんなに沢山じゃ酔っちゃうわね。」
コナンに呼ばれ、アガサ邸に来ていた小鳥は思わず肩を竦めた。酒の名前を持つメンバーたち…彼らが幼馴染である新一をコナンと言う少年にした犯人なのは知っていた。
しかし一般人である彼女は関わりたくないのが本音でもある。
「で、そのバーボンって哀ちゃんは知らないの?」
「顔までは…でも、お姉ちゃんの恋人の諸星大とは仲が悪いって聞いたことはあるわ。残念だけどそれくらいね…。コードネームを持ってたって言っても、私は研究室籠りで人質みたいなものだったから…。」
「水無さんの話では、組織随一の洞察力を持つ探り屋って言ってたぞ。」
灰原哀の身柄を組織に引き渡すわけにはいかない――問題なのは、彼女を守りつつどう組織を探るのか、と言うところだ。もし、バーボンが幼少期の宮野志保を知っていれば彼女を外へ出すことは非常に危険である。向こうの情報が殆んどない状態では作戦を組むに組めない――…とコナンは迷うのだ。
「…なあ、オメー本当に何も知らないのか?」
「知らないわよ、組織の事はなーんにも。まあでも、あの事件のショックで記憶が一部消えてるらしいから…何か忘れてることがあるのかもね。」
小鳥は息を吐くと、そっと視線を後ろに向けた。
アガサ邸から出て、独り帰路を急ぐ。日は随分沈んでしまった。そろそろ安室も帰宅している頃だろう――まあ、何故かいつも一度帰宅して夕食を作ってから出かけるのだが。
ふと、携帯をみると安室からの不在着信が入っていた。時間は10分前――珍しいと思いながら発信ボタンを押したとき、後ろから突然口を塞がれる。
「ンッ…む、ぐ…っ」
『もしもし?小鳥さん?』
「あむ…っ、――…」
かしゃん、と携帯が地面に転がる。抵抗しようにも身体が動かず、ぼんやりとした頭で麻酔の類をかがされたと気づいた。
「――…バーボンだな。」
自分を襲った男の言葉を聞きながら、彼女はゆっくりと意識を手放した。
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