コインロッカーの鍵
安室が強引に退院して数日が経った。学校を午前中で終えた小鳥は、ポアロで昼食のハムサンドを頬張る。今では彼女の好物の一つだ。
「安室さん、大きな怪我じゃなくて良かったですね。心配だったでしょう?」
「はい、病院に呼ばれた時はびっくりしましたけど思ったより元気そうだったので…
(本当は拳銃で撃たれた大怪我だったんだけどね…)」
当たり障りのない嘘で誤魔化しながら梓と会話をしていると、上の毛利探偵事務に行っていた安室が店内に戻って来た。若干足を引きずっているところを見るとまだ全快とは行っていないようだ。
「小鳥さん、今から毛利先生の依頼に同行するので、予定がなければ一緒に来てもらいたいんですけど…」
「はい、大丈夫ですよ!」
安室はエプロンを外して上着を羽織る。小鳥は残り一口のサンドイッチを口に入れ、紅茶で飲み干した。
数十分後――レストランコロンボ
「しっかし、お前も災難だったなぁ安室…まあ探偵なんて恨まれることも多くやるもんだから、次は刺されねーように気を付けろよ。」
「はい、痛み入ります毛利先生…。」
安室の怪我は「ストーカー調査の依頼中にそのストーカーによって刺された」と言うシナリオで誤魔化した。小五郎に嘘を吐くのは忍びないが致し方ない。まさかこの日本で撃たれました、なんて言える筈もないのだから。
「それにしても、遅いね。その依頼人の人…。」
店に来てから随分経つが、その依頼人は一向に現れる気配がない。
「この近辺にコロンボと言うお店が他にもあるとか?」
「ねーよ…ったく、兄の遺品のコインロッカーの鍵がどこの物かを調べるだけで30万もくれるって言うから受けたのによぉ」
「え?おじさま、鍵だけでどこのものか分かるの?」
「おう、鍵にはメーカーとシリアル番号が書いてあるからメーカーに連絡してそれがどこに設置されているか聞けば簡単にわかる。」
小鳥の疑問に小五郎は得意気に話す。しかしそんな会話をしていても依頼人は来店せず、連絡すら来ないのか彼は携帯を睨んでいた。
「お父さん、場所をここに変えようってメールにOKの返事は出したんだよね?」
「ああ、すぐに返信したしここで待ってるってメールもさっきからしてるけど一切返事がねえんだよなぁ。」
「アドレスは?その、場所を変えようって言うメールのアドレスは最初の依頼してきたときと同じアドレスなの?」
小鳥がそう首を傾げると、小五郎は目を細めてアドレスを確認した。
「ん?確かに依頼のメールとアドレスが変わってるな…。」
「ひょっとして、自分の携帯の充電が切れたから友達の携帯からメールを送ったんじゃない?それでその友達はメールの返信に気付いてない…とか。」
「おいおい!返事したのさっきのアドレスのほうだぞ!」
「だったら返事が来たのを知らずに待ってるかもしれませんね、最初の約束通り探偵事務所で…。」
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