事務所の事件


「…誰も居ないじゃないですか。」
探偵事務所に戻ったが、室内はもぬけの殻だった。
「一応すぐ戻るってメールは出したんだが…」
「じゃあそのうち返事が来るんじゃない?それまで紅茶でも飲んで待ってようよ。」
「いや…コロンボでちょっと珈琲飲みすぎた。…トイレ。」
「あ、蘭ちゃん紅茶入れるなら手伝うよ!」
小鳥は蘭についていき、安室は途中まで小五郎についていく。そして不自然な床の痕に気が付いた。トイレの前に、何かを引きずったような痕跡が残されている。そして小五郎がトイレに入ろうとした時に携帯が鳴った。
「お、依頼人から返事来たぞ!たった今コロンボについたから来てくださいって。」
「だったら早くいかないとですね。」
「あ、じゃあ僕もついてくからちょっと待って!トイレだけ先に済ませちゃうから!」
コナンがそう言ってトイレに入ろうとすれば、また携帯が着信を告げる。
「また依頼人からだ…急いで皆できてくれって。」
「皆って、私たちも?」
「他に誰がいるんだよ…。」
謎の違和感に小鳥が首を傾げていると、その背中を安室がそっと押した。
「では、またコロンボに行きましょう!さあさ、急いで!」
「早くしないと依頼人の人、待ちくたびれちゃうよ!」
安室とコナンに促され、一行は探偵事務所を出る。扉を閉めたところで、安室は唇に人差し指を当てた。
「お静かに。つまり、こう言う事ですよ。
依頼人を毛利先生に会わせたくない人物がいて、最初に場所変更の偽メールを送り先生を外出させ、無人になった探偵事務所でその依頼人を待ち伏せ、探偵事務所の人間を偽って落ち合ったんです。」
「それにさ、ほらみて。鍵穴をこじ開けたような痕跡があるでしょう?」
「…あ、もしかしてティーカップが少し濡れてたのも?蘭ちゃんの性格じゃ、濡れた食器をそのまま棚には戻さないからおかしいなって思ってたんだけど…。」
「それは先生の留守中に依頼人を招き入れ、紅茶を出してもてなした痕跡…その時使ったカップをよく確認もせず棚に戻したから、まだ濡れていたんでしょうね。」
鍵を頼りにロッカーの場所を探し当てるだけで30万、簡単な筈の依頼がとんでもない事になっているのでは…?と小鳥は考え込む。そして辿り着いた疑問を口にした。
「もしかして…そのロッカーの中にとんでもないものが入ってるんじゃ…。」
「それは…本人に聞いてみましょうか!」
安室はいたずらに微笑むと、勢いよく扉を開けた。
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