追跡開始


「どこを見ても男物だらけですね…。本当に樫塚さんがお兄さんと住んでたんですかね…?」
「いえ、そもそも彼女は樫塚圭ではありません。本名は浦川芹奈と言うらしいですよ?」
安室は淡々とそう言えばポケットから女性物の財布を出した。自分のモノではない…蘭のものでもないとすれば答えは一つだ。
「もしかしてそれって…」
「ええ、彼女のものです。沢山入ってましたよ、銀行のキャッシュカード。」
「それが入ってると何かあるんですか?」
「銀行員って言うのは異動の度、支店のキャッシュカードを作らされるんです。つまり彼女も銀行員…。そこで1つ疑問が…銀行員は不正防止の為親族が同じ支店に配属される事はありません。さて小鳥さん、ここから導き出される答えは?」
「殺害された男性と浦川芹奈さんは兄妹じゃなくて…恋人、とか?」
おずおずと答えれば、安室は「正解」と小鳥の頭を撫でた。
「…恐らく樫塚圭は、ここに住んでいた男の名前でしょうね。そしてコインロッカーに入っているものは…強盗で盗んだ金と見て間違いないでしょう。さて、毛利先生の所に戻りますよ。」
「わかりました…!」
念の為、すべての部屋を確認して寝室へ戻る。小五郎はパソコンの前で難しそうに首をひねっていた。

「おじさま、パソコン開けた?」
「いや…パスワードが掛かっちまってる…」
唸る小五郎をよそに、安室は机の下を覗く。
「先生はパスワードとかどうされてます?」
「俺は5563でコゴローサンだが…」
「あ、いえ長くてとても覚えきれないパスワードの場合ですけど…」
小五郎はそれなら…と机の下に手を伸ばす。指先に何やら紙が触れ取り出すと、そこにはパソコンのパスワードが書かれていた。起動したパソコンを動かしてメールフォルダを開けば、ご丁寧に今回の強盗事件の犯行計画書が出てくる。
「…この人、探偵事務所で死んでた人…。もう1人の男がスーツケースに入ってたから…あとはこの女の人ね」
「住所が書いてありますね、行ってみましょう!」
4人で部屋を出、エレベーターで1階へと下る。
安室の車に乗り込み、小鳥は携帯で住所の入力をした。
「えっと、大石街道を北に行ってください…!」
「了解です、少し飛ばしますよ!」
シートベルトをきつく締めた安室は思い切りアクセルを踏む。
そのまま小鳥のナビに従い、浦川芹奈を追いかけた。
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