最後の強盗犯


しばらく走っていると、蘭の携帯が着信を告げる。
「哀ちゃん?え!?こっちに戻ってきてる?青い車って言っても…」
どうやら浦川芹奈の車は何らかのトラブルで来た道を戻っているようだ。つまりこの街道の反対車線を走行中であるーー…安室は対向車を凝視した。
「…!あの車ですね。舌噛まないで下さいよ…!」
彼女の車を発見するや否や、彼はハンドルを切り反対車線へと移る。
「小鳥さん、今の見えました?」
「はい、眼鏡の女性がコナンくんと浦川芹奈さんに拳銃を向けてました。あの女性は…写真に写っていた強盗犯です!」
「さすが、僕の助手は優秀だ。」
スピードを上げ、自分たちより先に反対車線へと移っていた赤い車を追い抜く。安室は窓越しに車の運転手と対峙した。細目で眼鏡を掛けた男に見覚えは無いが、何故か胸がざわつくのを感じる。しかし今はコナンの身の安全が最優先だ。彼は再びアクセルを強く踏む。
「毛利先生はシートベルトをきつく締めて、蘭さんはもう少し先生の方へ寄ってください。小鳥さん、貴女はベルトを外してこちらへ…」
「え?外すんですか…?」
戸惑いつつもベルトを外せば、安室は小鳥の腰に手を回して自分の方へと抱き寄せる。そしてそのままハンドルを切った。

大きな音と衝撃に思わず目を瞑る。安室は浦川芹奈の車を自分の車を当てる事で強制的に停めさせた。そして、慌てて出てきた強盗犯の女は、先程から彼らを追いかけていた例の女子高生探偵にバイクで吹っ飛ばされた。
「コナンくん!」
「ボウズ!!」
小五郎と蘭は車から降りるとコナンの元へと駆け寄った。幸い怪我もなく五体満足のようだ。小鳥はほっと胸を撫で下ろすと心配そうに安室を見た。
「安室さん、痛みますか…?」
「少し…、すぐに引くので大丈夫ですよ。」
気丈に振る舞う安室だが、先日の傷が痛むのか額には脂汗が浮かんでいた。脇腹を抑えつつ肩で息をする彼の汗を、小鳥は持っていたハンカチで拭く。
「お疲れ様でした。休みましょう…ゆっくり…。」
彼女の声を聞きながら、安室はそっと目を閉じた。
*前次#

top