白の魔術師
――某日午後
「そう言えば、小鳥は怪盗キッドって知ってるか?」
「え?ああ、園子ちゃんから聞いてますよ。狙った獲物は何でも盗む、世紀の大泥棒だとか。でも確か宝石にしか目が無いし、盗んでも後で返しにくるかわった怪盗さんですよね。」
「…かっこいいとか、思ってるのか?」
暫くの沈黙、小鳥は目を丸くして降谷を見た。
「…どうしてですか?私怪盗キッド好きとか言った事ないですよね?」
「いやだって、小鳥って少し悪い男好きだよな?ドラマとか見ててもちょい悪親父みたいな奴カッコいいとか良く言ってるし。」
「それは物語の中だからでしょう?心配しなくても零さんが一番ですよ。って、零さん今はダメって、車の中!」
思い切り抱き付いて、首筋にキスをしてきた降谷を慌てて牽制する。いくら地下駐車場だと言っても人が来ない訳ではない。このまま降谷に流されるものか、と小鳥は頬を膨らませて抵抗した。
「で、何で急に怪盗キッドの話を?」
「ああ…明日、キッドからの予告状を貰ったって人が毛利先生に依頼に来るって聞いて
折角なら俺も弟子として同行しようかな――と思ったんだが、もし小鳥がキッドのファンだったら俺が落ち着いて居られなくて。」
「もう、捜査に私情は禁物なんじゃないですか、おまわりさん?」
太ももに伸びて来た降谷の手を叩くと、彼女は車から降りる為ベルトを外した。後部座席から買い物袋を取り出して車外に出れば、同じく外に出た降谷が鍵を掛ける。そのまま流れる手つきで袋を奪い、小鳥へと右手を差し出す。
「俺が代わりにエスコートしますよ、お姫様。なんてな。」
「ふふっ、零さん似合わない…よろしくお願いします、王子様。」
二人は手を繋ぎ、笑いながら帰路についた――。
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