出演者たち
「わぁ〜!お化粧道具がいっぱい!」
「そうね」
「これ、ファンデーションって言うんだよね!」
灰原がメイク台を見ていると歩美がやってきて興味深そうに声を上げる。歩みがベージュ色の液体が入った瓶を手に取ると、灰原は「ええ」と頷き、台に置かれたファンデーションの瓶やチューブを見た。
「ファンデーションだけで、一、二…五種類あるわね。」
「五種類も!?」
歩美が驚いていると、背後から「コラッ!」となつきの声がした。
「お嬢ちゃんたち、お化粧に興味を持つのはまだ早いぞ。」
と、歩美が持っていたファンデーションの瓶を取り上げ、台に置かれた他のそれも一緒にメイクボックスにしまってロックを掛ける。
「子供は子供らしく。ね?」
「はぁい」
残念そうに返事をする歩美を見てコナンがフッと笑った。すると、ドアをノックする音がした。
「はい」
真佐代がドアを開けると、
「ああ、真佐ちゃん。毛利さんいらっしゃったって…」
衣装の軍服を身に着けた成沢文二郎(34)が顔をのぞかせた。小五郎の姿を見つけ「ああ!毛利さん!」と中に入ってくる。
「…あの人がナポレオン役ですかね?」
「多分…あの衣装安室さんに似合いそうです…」
「おや、それは嬉しいですね。」
「絶対かっこいいで…いっ!」
後ろで安室と話をしていた小鳥は足を思い切りコナンに踏まれ涙目だ。コナンは「遊んでんじゃねぇ」とでも言うようにこちらを睨んでいる。
「私、毛利さんの大ファンなんですよ!そうだ、ご紹介します。」
成沢は小五郎と握手を交わすと、一緒に入って来た田島天子(36)、新庄功(28)、伴亨(45)を振り返った。
「そちらからジョセフィーヌの親友、テレジア・タリアン役の田島天子さん。」
「よろしく」
「ジョセフィーヌの恋人、イポリット・シャルル役の新庄功くん」
「どうも」
「そして、この舞台の演出兼ジョセフィーヌのパトロン、バラス・ド・ポール役の――」
「伴亨です。よろしく。」
伴と小五郎が握手を交わすとドアの方から声がした。
「皆さん、お揃いですかな?」
「中森警部!」
「どうも毛利さん。お久しぶりです。」
部下と共に楽屋に入って来た中森は、小五郎の手を強く握りしめた。小五郎の負けじと強く握り返し睨み合いながら互いの手を握る。その大人げない光景に小鳥は呆れた。
「コナンくん、彼は?」
「ああ、中森銀三警部だよ。捜査第二課で怪盗キッドの専門なんだ。」
「…泥棒とかって捜査三課じゃないの?」
「彼のような世紀の大泥棒はただの泥棒ではなく知能犯ですから、担当は捜査二課になるんですよ。勿論窃盗など突発的な盗みは捜査三課が対応します。」
小鳥の疑問に安室が答える。なるほど、と頷いているとコナンが「本当にわかってんのか?」と怪しげな視線を向ける。
「そ、それにしても本物なのかな、警部さんたち…」
「…確かに。前もって関係者に化けるのはキッドが良くやる手だからな…。」
慌てて話題を逸らせば、コナンは険しい目つきで樹里たち一同を見渡した。もしかしたら怪盗キッドは既にこの中に居るのかも知れない――そう思っていると、ようやく小五郎と手を離した中森が右手を揉みながら「そうそう」と声を上げた。
「今回は特別に捜査協力をしてくれる人物を連れてきました。まあ、私は必要ないと言ったんですが目暮の野郎――あ、いや目暮警部が強く推すもんでね。入り給え。」
中森警部が振り返り、一同の視線が開いているドアに集中した。廊下からコツコツと足音が聞こえてきて、ドアの前に現れた人物を見て蘭が「え!?」と驚く。
それは、工藤新一だった。
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