解けない変装


「なっ…!」
あり得ない人物を見たコナンは大きく目を見開いた。彼の正体を知る小鳥や安室も驚いた表情を見せる。
「どうも、工藤新一です。」
「新一!」
突然の登場にびっくりしている蘭と園子の横で、阿笠博士は思わずコナンを振り返った。工藤新一がコナンの前に現れるはずがない――だとしたら目の前の男は…
「か…か…」
コナンが驚きのあまり声を詰まらせると、小五郎は「なんだ、こいつか」とぼやいた。
「工藤新一って…」
「あの有名な、高校生探偵の?」
成沢と天子は颯爽と楽屋に入ってくる新一に驚きの眼差しを向ける。その後ろでは蘭と園子、そして少年探偵団たちが何やら会話をしていた。
「怪盗キッドだ!!」
ようやく声を上げたコナンに、一同が「!?」と振り返った。
「この人、新一兄ちゃんじゃない!キッドが化けてるんだ!」
「キッドが!?」
中森がジロリと睨むと、新一は「いやぁ…」と両手を顔の前で振った。小五郎が訝しそうにコナンを見る。
「なんでそんな事わかるんだ?」
「だって俺がホントの――!」
「ほんとの?」
「あ、いやぁ…」
コナンが言葉に詰まると、新一に変装したキッドがにやりと笑った。キッドはコナンが正体をバラせない事を分かっていて、大胆にも新一に化けて現れたのだ。すると、突然中森が大きな笑い声をあげた。
「なるほど、その可能性も無いとは言えないな。」
と、いきなりキッドの頬を両手で思い切り引っ張る。
「イテテテテ…やめてください中森警部…!」
しかし、中森がどれだけ引っ張っても変装マスクは破れる事無く、頬が伸びたキッドは痛そうな声を上げるだけだった。
「どういう事…?」
「さあな…キッドの顔立ちが俺に似てるか――…」
「もしくは…君の方が偽物だったり。」
ジッと見つめる安室にコナンは「おいおい」と苦笑いをした。
「よーし!間違いない、本物だ!」
キッドの顔を思う存分引っ張り上げた中森は一同を振り返る。
「ついでに皆さんの顔も引っ張らせて貰いたいところですが…」
「いや、その必要は無いでしょう。私の勘ではキッドはこの中にいません」
(いや、いるって…)
どや顔で公言する小五郎にコナンは頬を赤く腫らした新一――キッドを見ながらボソリ、と呟いた。小五郎にはどうやらキッドを捉えるための秘策があるらしい。中森が樹里以外の役者に退席を求めると、キッドが「ああ、すみません」と手を上げた。
「僕は僕のやり方でやりますので」
「上等だ!探偵ボウズに用はねぇ!」
中森と小五郎に睨まれたキッドがニヤリ、と笑いコナンは険しい目つきで見つめた。
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