機内の再会


函館行きの飛行機――スカイジャパン865便の搭乗手続きが始まり、コナンたちも真佐代から渡されたチケットを自動改札口に入れ、半券を受け取り飛行機に乗り込んだ。最後部の階段を上がるとそこは二階席になっていて、最前部中央奥にはカーテンがかかり、その先にコクピットのドアがあった。シートは左右に二席ずつとゆったりしていて、コナンたちはチケットの半券に印字された座席番号を見ながら、それぞれの席に向かった。
「わ、凄い…思ったよりふかふかですね!」
「中々良い物ですね…。国内線で二階にスーパーシートがあるのは、このスカイジャパン航空だけなんですよ」
「そうなんですか?安室さんってやっぱり物知りですね!」
「まあ、僕も乗るのは初めてなんですが…。」
安室と小鳥がそんな会話をする中、光彦の後ろに座った蘭はチラチラと振り返って最後部の階段を見ていた。隣の園子が不思議そうに見つめる。
「どうしたのよ、蘭。さっきから振り返ってばっかり…」
「あ、ううん、なんでもない」
その時、階段の方で「いらっしゃいませ」とキャビンアテンダントの声がした。
「来た…!」
「来たって、誰が?」
「しっ!静かに!」
前を向いた蘭は人差し指を口に当てた。すると一人の女性が通路を歩いてきて、機内誌を読んでいる小五郎の横で立ち止まった。
「あの、お隣の席…」
「うん?あ、どうぞ」
機内誌から顔を上げた小五郎は、女性の顔を見て「うわっ!」と目を見開いた。その声に後ろを向いた小鳥は彼女の姿に嬉しそうな顔をする。
「英理…!!」
「あなた…!?」
女性客は、小五郎の別居中の妻――妃英理だったのだ。
「小鳥さん、あの女性は?」
「蘭ちゃんのお母さんです。妃英理さん…弁護士でデビューから負けなしの法曹界のクイーンですよ!」
「へえ…。」
聞き耳を立てていると、どうやら蘭が彼女を呼び、函館で復縁させる算段だったようだ。しかしその作戦はうまくいかず、二人はそっぽを向いてしまう。小五郎はそのまま席を立ち、樹里の隣へと座った。
「どうしてこうなっちゃうんだろう…」
隣の園子が(なるって)と心の中で呟くと、光彦の前の席に座っているコナンも(なるよ…)と心の中で突っ込んだ。
「どうも皆さん、お待たせしました!」
階段を駆け上がる音がし、聞こえた声に一同が振り返ると、驚いたことにサングラスを掛けた新庄が立っていた。
「新庄さん!あなた、体調が悪いから今日はキャンセルしたって…」
「いやぁ、それが体調も戻ったし一人でいてもヒマなんで、やっぱり参加することにしたんです。」
サングラスを取った新庄は通路を進み、驚いた顔で見ている樹里に歩み寄った。そして、おどけたように片膝をつき
「遅くなりました、ジョセフィーヌ様」
と樹里の右手を取ってキスをした。樹里が新庄に顔を近づける。
「どうして言われた通りにしないの」
「大丈夫です、向うについてからでも十分…」
コナンは二人の会話に耳を傾けたが、新庄が背中を向けて居る為それ以上は聞き取れない。やがて、新庄は立ち上がると後方へ行き、7Bの席へ座った。
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