安室の推理


重苦しい機内の中、コナンと打ち合わせをした安室が立ち上がる。
「毛利先生、もったいぶるのはそのくらいにして、そろそろ真相を話したらどうです?まあ、眠りの小五郎が出るほどの事件でもありませんね…今日は僕が真相をお話ししましょう。」
「え!?やった!今日は安室さんの推理ショーね!」
園子の言葉を受けて、一同も安室に注目する。
「まず、犯人が樹里さんに毒を盛った方法…その驚くべき意外な手口からお話ししましょう。――そう、それは耳抜き。犯人は樹里さんが飛行機に乗ると必ず耳抜きをすることを知っていたんです。親指と人差し指で鼻をつまんで息を吐く、あの方法を。いつも右手でやっていた事も。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、ダイビングで最初に教わるのはこの耳抜き。上級者だと鼻をつままなくても出来ますが樹里さんはまだ初心者…十中八九やっていたでしょうね。――そうだよね、コナンくん?」
安室が隣の席に視線を送ると、コナンは「うん!」と答えて小鳥の膝の上から降り、通路へと移動した。
「この耳抜きって、歩美ちゃんがそうだったように、女性が異性の前でやるにはちょっと恥ずかしいよね。それに樹里さんは女優で隣には小五郎のおじさんが居た。だから樹里さんは隠れて耳抜きをするためにトイレに行ったんだよ!そして席に戻り、右手の親指と人差し指でチョコレートをつまんで食べた…いつものようにココアパウダーがついた指まで舐めて…。まさか、その癖によって毒を完全に体内に入れてしまう羽目になるとは知らずにね。」
コナンの声が低くなる。二階席の一同は、推理を披露するコナンと安室に注目していた。

その頃、コクピットでは、機長の大越が苦しそうに制服の襟元に手を掛けていた。
「なんか、息苦しくないか…?」
「ええ、おかしいですね…」
息を荒くした副機長の中屋も、白手袋をはめた手を襟元にかけ、ネクタイをわずかに緩める。置いてあるトレイの上には、空になった紙コップと皿が乗せられていた。

小鳥が不安そうに見守る中、安室はコナンと共に淡々と推理を続ける。
「もっとも樹里さんはその前からじわじわと毒物に冒されていたようですけど…。そう、彼女の気分が悪くなったのは、肌から吸収された毒の所為」
「肌って…」
呟いた小鳥がハッと何かに気が付いた。
「それじゃあまさか…!」
「ええ、羽田空港の駐車場に止めた車の中で、毒物をファンデーションに混ぜて樹里さんの鼻の両側に塗り、樹里さんを死に至らしめた犯人…それは、酒井なつきさん、貴女です!」
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