警察だらけのパーティー
米花サンプラザホテル――
吹き抜けに豪華なシャンデリアが輝くメインロビーに、小鳥、安室、八重は正装姿で現れた。案内に沿って15Fの鳳凰の間まで行くと、沢山の招待客たちが談笑している。
「警察の人がいっぱい…」
「あんな事件の後じゃしょうがないよね。新婦の沙羅さん、警察関係者だし」
やれやれ、と言うようにため息を吐いた八重はクロークにバックを預けた。小鳥も同じように預けると、不思議そうに傘立てを見つめる安室が目に入る。
「どうしたんですか?」
「いえ、昨日は雨でしたが今日は降って無いですよね?どうして傘があるのかと思いまして…」
「一本だけだし、心配性な人が持って来たんじゃないですか?」
ひょこ、と顔を出した八重はそう言う。それに納得がいったのか、安室は踵を返した。
「ん?小鳥に安室じゃねーか?」
「お、おじさま!」
声を掛けられ振り返ると、そこには毛利小五郎、蘭、コナンが立っている。
「小鳥のねーちゃんはなんでここに?」
「新郎の光太郎さん、親友の従弟なの。この子が私の親友、四条八重ちゃんよ」
「初めまして、四条八重です。よろしくね、ボウヤ!」
八重はにかっと笑うと、コナンの頭をわしゃわしゃと撫でた。
新郎新婦の紹介、スピーチ、乾杯などが終わり、会場は歓談の時間となった。高砂席には次々と友人が駆け付け祝杯をあげる。小五郎もビールを飲んでいると、背後から「毛利さん」と声を掛けられた。新婦の兄である白鳥警部だ。
「あの、ご紹介します。私の主治医で米花薬師野病院・診療科の風戸先生です」
「風戸です、よろしく」
ピンクのシャツに赤いネクタイを着こなした風戸京介(36)は、左目下のほくろが印象的な男だった。風戸と握手を交わした小五郎は後ろの家族と小鳥達を紹介する。
「でも、白鳥警部…診療科って…」
蘭に聞かれた白鳥は「あ、いや…」と苦笑いをした。
「管理職っていうのは色々悩みが多いものでして…それでですね」
と、小五郎に近寄って囁く。
「毛利さんも一度診て貰った方がいいかと思いまして…」
「そうだな。俺も近頃記憶が…」
と、言いかけて小五郎ははっとした。
「こらぁ!どういう意味じゃ!」
英理や蘭がクスクス笑う中、小鳥もまた笑いながら安室へと囁いた。
「ですって、安室さん。一度診てもらった方が良いんじゃ無いですか?」
「僕の主治医は小鳥さんなので問題ありませんねぇ」
後ろで安室と小鳥が話していると、小五郎はそっと白鳥へと耳打ちをした。
「そう言えばこの間の事件ってもしかして…」
「それ以上の詮索は無用です毛利さん。『Need not to know』と言えばおわかりでしょう?」
白鳥の言葉に小五郎はハッと息を飲む。話が聞こえてしまった小鳥は白鳥の言葉に頬を膨らませた。
「『知る必要のない事』って…今まで何度も捜査協力してもらってるおじさまに対してあんな言い方…」
「違いますよ、白鳥警部は毛利先生にちゃんと情報を伝えています。『Need not to know』――これは刑事たちの間で使われている隠語です。元刑事の毛利先生には伝わるように言ったのでしょう。本当の意味は…『犯人は警察関係者の中に居る』と言う意味です。それも…上層部あるいは組織全体が関与しているかもしれない――と言う意味でね」
*前次#
top