「彩海」

病院から自宅への帰路の途中。
No.2ヒーローのエンデヴァーが私を待ち構えていた。

「最近学校はどうだ」
「どうにか楽しくやってます」
「そうか」

隣に歩いているだけなのに、すごい威圧感。
No.2ヒーローの貫録を改めて実感する。

「今年の職場体験もよかったらうちに来い。鍛えてやる」
「はい。是非よろしくお願いします」

去年の職場体験はおじさんの誘いでエンデヴァー事務所にお世話になった。
昔の馴染みだからか、おじさんは私のことも気にかけてくれる。
誤解は招きやすい人だが、いい人だと思う。

「ところで、焦凍はどうだ」
「うーん、どうだろう。まだ始まったばかりだからよくわかりません」
「そうか」

私の言葉を聞き、おじさんは突然足を止めた。
その面持ちからはどことない緊張感が漂っている。

「あいつのこと、よろしく頼む」

私の目を真っ直ぐと捉えて、そう告げるおじさんは。
ヒーローではなく、1人の父親の顔つきだ。

「……大丈夫ですよ」

ねえ、焦ちゃん。
君の記憶の中では、おじさんはひどい人かもしれない。
君の記憶の中では、おばさんは泣き続けているかもしれない。

けどね。
私には誰よりも君が一番苦しんでいるようにみえてしかたないの。

「焦ちゃんは誰よりもカッコいいから」

君は私を助けてくれたのに。
私は君に、何もしてあげられないね。



tears

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