「彩海って無駄に目立つよね」

いつもと同じ穏やかな昼休み。
親友である画色七絵が一緒に頼んだカレーを頬張りながら言った。

「良くも悪くも人の目を惹きつける。去年の体育祭でそれが拍車かかった感じ」
「ははは。体育祭でたまたま上位に残っちゃったから……」
「たまたまで一位なんか取れないし、職場体験でエンデヴァー事務所からオファーなんて来ないっての」

彼女はため息交じりに再びカレーを口に放り込む。
私もそれにつられるように食器の中のカレーを掬い上げた。

「あんたは色んな人を虜にしてるってことは間違いないと思う。けどそれは決して、メリットばかりじゃないからね」

勢いよく突きつけられるカレースプーン。
いつもとは違う、真剣な物言いに思わず手を止めてしまった。

「七絵、行儀悪い」
「あ、ごめんごめん」

軽くあしらうような謝罪の言葉。
張りつめた空気が一気に緩み、穏やかな雰囲気に変わる。

「そんなこと私が一番わかってるよ」

そう。わかっている。
今まで嫌というほどそれを体感してきたのは紛れもない、私だ。

「心配してくれてありがとう、七絵」

けど昔と違うのは、今の私には支えてくれる人たちがたくさんいるってこと。

「別に」

照れ隠しの素っ気ない返事。
彼女の天邪鬼な態度に、自然と笑みがこぼれた。



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