現代は世界総人口の約八割が特異体質である超人社会。
4歳までに両親の複合的個性あるいはどちらかの個性が発現するとされている。

「奏出さんは、複合的個性ですよね?」
「緑谷くんにはお見通しだね」

以前、緑谷くんと話をした時。
彼は私の両親のことも事細かに把握していた。

「お父さんは海神ヒーロー、ポセイドン。海上で敵う人はいないと言われてる、超有名ヒーローじゃないですか!」
「ははは、ありがとう」

自分の事じゃないけど、身内を褒められると嬉しいものだ。

「お母さんの個性はシンガー。歌声で人々を自由自在に翻弄する個性!たまにテレビ番組にも出演してますよね?」
「まあ、合唱コンクールの番組だけどね。本職は教員だし」

予想以上の情報収集力。
下手したら私より両親のことは詳しいのではないだろうか。
緑谷くんの目はとても生き生きとしている。

「その二つを受け継いだ奏出さんの個性、人魚。夢のある素敵な個性です!」

その言葉に思わず苦笑した。
それに気付いたのか、緑谷くんは少し不安げな表情を浮かべる。

「緑谷くんは、人魚ってどういうものか知ってる?」
「え?」

素敵だと。羨ましいと。
数々の言葉を受けてきた。
羨望の眼差しも受けてきた。
けれど、そうじゃないの。

「人魚ってね、昔から不吉の象徴とされているの」

本当は違うと信じたかった。

「だから、私はみんなを不幸にしちゃうんだよ」

幸せにしたいと、何度も願った。
なのに、私は。

「……なんてね!」

彼を苦しめ続けて、いる。


bad luck

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