「彩海、お疲れ!」
第二試合を終え2-Aの観客席に戻ると、親友の七絵が出迎えてくれた。
リカバリーガールに治療してもらった腕をさすりながらこちらに微笑みかけている。
「ありがとう」
並ぶように腰掛けると、目の前で繰り広げられる試合風景に視線を移した。
「彩海、稲妻くんかなり気合入ってるみたいだよ」
稲妻くんは去年決勝で戦ったクラスメイトだ。
そして今まさに、目の前でその稲妻くんが交戦している。
その威力は見るからに去年とは段違いだ。
「稲妻凄くねえ?」
「今年はもしかしたら奏出に勝つんじゃねえ?」
みんなが囁きながら稲妻くんを眺めている。
その迫力にみんなが圧巻されている。
どうしてだろう。
私も目の前の試合に集中したいのに。
先ほどから、私の脳裏を支配するのは。
「……彩海?」
先ほど見た、彼の試合風景だ。
「彩海!」
七絵が少し強い口調で私の名前を呼んだ。
「ご、ごめん。何?」
七絵は私を睨みつける。
その表情は私を心配しているようにも見えた。
「何かあったの?1年ステージから帰ってきてからおかしいよ、あんた」
「ごめん。本当おかしいよね、私……」
焦躁。喜悦。悲壮。
私の中で色々な感情が疼いている。
「ちょっと気分転換してくる」
やり場のない感情を振り切るように、席を立った。
私と入れ替わるように、クラスメイトが七絵の隣に座り込む。
「ねえ七絵!彩海どうしちゃったの?」
「今日の彩海……いつも以上に気迫がすごいっていうか……」
観客席から湧き上がる歓声。
アナウンスが稲妻君の勝利を告げている。
盛り上がり白熱していく会場とは逆に、私の心中はどんどん冷めていく。
「正直……超怖い」
周りの賑やかな雰囲気が、やけに煩わしく感じた。
confusion
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