爆豪くんと駅で別れた後、私はおばさんの病院に来ていた。
頂いたアイスを食べながら、さっき感じた既視感について話をしているところだ。

「へえ。そんなことがあったのね」
「よくあるって聞くけど私は初めてだったからなんか気味が悪くて。おばさんはある?」
「どうだろう。あったかもしれないけど、もう覚えてないわ」

スプーンを口にくわえながら、また先ほどの光景を思い返す。
あの懐かしい、独特の感じ。
思い出せるようで思い出せない、このもやもやはなんとも気持ち悪いものだ。

「それより、いいの?その爆豪くんってこと帰っちゃって」
「え?どうして?」
「いえ。焦凍は知ってるのかしらって思って」
「焦ちゃんには話してないよ。それに今日は一緒に帰る約束はしてなかったし…」
「そう……」

おばさんは何か言いたそうな表情で苦笑いを浮かべた。
あれ、私何かおかしいこと言ったかな。

「彩海ちゃん来てたんだ」

扉が開き、聞きなれた声が病室に響く。
そこには冬美さんが洗濯物をもって顔を出していた。

「焦凍と喧嘩でもした?」
「え?してませんよ?」
「なんか焦凍が少し不機嫌だったから。もしかしたら彩海ちゃん関係かなって思って」

冬美さんのその言葉に、おばさんはさらに苦笑した。
私、知らず知らずに彼を怒らせるようなことをしてしまったのだろうか。

「焦凍は昔から彩海ちゃんが大好きだから。きっと不安でしょうがないのね」
「え!?」

おばさんのその言葉に、頬が一気に熱くなる。

「やっぱり彩海ちゃん関係だったか。何かあったの?」
「いや、その……実は今日焦ちゃんのクラスメイトの子と帰ったんですけど……」

冬美さんにも今日感じた既視感について説明をする。
すると冬美さんは既視感のことより、爆豪くんのほうへと話題を変えた。

「爆豪くんって、あの体育祭で1位だった子?」
「はい。でも私、なんだか会うたびに威嚇されちゃうんですけど……」

おばさんと冬美さんは目を合わせて苦笑した。
その2人の様子に、私はさらに混乱する。

「きっと焦凍、2人で帰ってたこと知ってるんじゃない?きっと嫉妬してるんだよ」
「え!?焦ちゃんが嫉妬!?」

その言葉に驚き、思わず大きな声を上げた。

あの彼が嫉妬するなんて。
全く想像もつかない。

「でも彩海ちゃんの様子見てたら心配なさそうだね」
「え?本当ですか?」
「ね?お母さん」
「ええ、そうね」

おばさんは穏やかな笑みを浮かべる。

「焦凍と彩海ちゃんの話を聞くのが、今の私の楽しみだわ」

その言葉と微笑みに、私もつられて笑顔がこぼれる。

「……たくさん、話に来ます。だから、また聞いてくれますか?」
「もちろんよ」
「私にも聞かせてね、彩海ちゃん」
「はい!ちょっと恥ずかしいけど……」


このあともおばさんと冬美さんと他愛のないことで笑っていた。
まるでちょっとした女子会みたいだなあ、なんて考えながら。
穏やかなこの雰囲気に、いつまでも浸っていられたらいいなんて思っていた。


girl's talk

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