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「本当に六花さんいい人だったなあ」

楽しすぎて、あっという間に過ぎた時間。
私はふう、とため息をついた。

「お姉ちゃんがいたら、あんな感じだったのかなあ……」

六花さんの妹がいたら、という言葉を思い出してなんだか照れくさくなる。

「そっか」

なぜあんなに早く打ち解けられたのか。
自然と会話が弾んだのか。

「六花さんは、好奇の目がないんだ」

たいていの人たちはレベル5、超電磁砲と呼ばれる私に対して、好奇心の目でみてくる。
けど六花さんは一般人と同様に、特別意識する様子もなく接してくれていたのだ。

なんだか足取りが軽く感じる。
満たされた気分で鳴り響く携帯に応答した。

「あ、もしもし黒子?うん、今帰るから……」