25
「学園都市の闇に真っ向から挑もうなんざ、バカのすることだ」
「……どうしたの、いきなり」
「独り言」
らしくない行動に驚いたのだろう。
心理定規は不思議そうに、怪訝そうに俺を見た。
「だからあなたは、スクールに入ったんじゃないの?」
「まあな。アレイスターとの直接交渉権を得る、それが俺の目的だ」
座っていたソファから立ち上がると、振り向きもせずに部屋を後にする。
「彼女、喜んでくれるといいわね、それ」
心理定規が何か言った気がするが、聞こえないフリをした。
まっすぐと六花の住むマンションへ向かう。
空はどんよりと曇り、今にも降り出しそうだ。
「一応、コンビニにでも寄っていくか」
近くにあったコンビニ寄って傘を買うと、タイミングよく降りだした。
傘をさしてねえやつは悲惨だと思うほどの大雨。
マンションに辿り着き部屋のドアノブを引けば、思っていたよりも簡単にドアが開いた。
先に六花が帰ってきているようだ。
「おい。電気ぐらいつけろよ」
部屋の中は明かりがついておらず、薄暗い。
リビングに姿がなかったため、寝室のドアを開けた。
「て、帝督……?」
そこには雨に降られた六花が調度着替えようとしていた。
濡れた制服からは下着がほんのり透けている。
「おかえり」
「ああ……」
いつもは結っている髪を下ろしている。
普段の六花は全然違った。
やけに色っぽく見え、なんだか目の前がくらくらする。
「帝督?どうしたの?」
「……何もねえ」
俺は何事もなかったかのように平然を装い、静かにドアを閉めた。