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初めて一緒に寝たあの日から俺は家に帰る度、六花の体を求めた。
まるで次の日が最後になってしまうんじゃないか。
そんな不安が俺をいつも襲ってきたからだ。

六花もそんな俺を受け入れる。
いつもその一瞬を大事にしているかのように。
切なそうに涙を流して。

「……なあ、六花」
「なに?帝督」
「俺はさ、お前がさえいてくれればいいって、ずっと思ってる」
「うん。私も」
「だからこそ、俺は第一位にならなくちゃいけない」
「……どういうこと?」

俺はそっと六花の首元に、噛みつくような強くキスをした。
赤くほんのりと着いた跡は、六花の白い肌に綺麗に映えた。

「見つけたんだよ、突破口を。俺とお前が、この先も笑って暮らしていける方法を」

俺は着替えを済ませると、不安そうに見つめる六花に長く、深いキスをした。

「またここでおかえりって迎えてくれよな」
「帝督……?」
「ちょっと行ってくる」

俺は振り返ることなくドアを閉める。

「第二候補じゃだめだ……第一候補になってやる」

第一候補になれれば、俺の絶対能力進化計画を止めることをアレイスターにかけあえる。
学園都市の闇に真っ向から立ち向かったって意味はない。
真面目に努力して、何度も挫折を繰り返した。
そんな俺がだした答えは一つ。

ならば、上と掛け合えるほどの地位につくしかない。

すべては六花を守るため。
そのためだけに動いていた。


俺はスクールの溜まり場へと向かって歩き出す。
刻々と、俺と六花の距離は広がっていることに。
この時はまだ、気づいていなかった。