05
「今日はごちそうさま。ありがとな」
「ううん。こちらこそありがとう。気を付けて帰ってね」
上条君を玄関で見送る。
閉まった扉を眺め、私は1つため息をついた。
いつぶりだろう、こんなにたくさん笑ったのは。
ダイニングに戻り、朝方にかけたラップに包まれたフレンチトーストが目に入った。
「今日も帰ってこなかったか」
カーテンを開け、窓に映った自分の顔をみつめた。
なんて情けない顔なんだろう。
「ねえ、いつからわたし、笑ってなかった?」
「ねえ、いつからわたしたち、離れちゃった?」
自分に問いかけるように小さく呟いた。