06
「やったー!また六花のほうが大きいね!」
「うるさい!絶対、大人になったら追い抜いてやるからな!」
「大人って、いつから大人なの?」
「し……しらねーよ」
「じゃあ、六花のこと追い抜いたら大人なの?」
「そう……だよ」
「んー、じゃあ六花よりおっきくなったら、六花のことお嫁さんにしてね。大人だから、お嫁さん、なれるよね?」
「しらねえよ!ばーか!」
「あー!ばかっていった!ひどい!」
くんのばーか!、ばーか……
「六花様…?お次、よろしくて?」
「あ、はい。ごめんなさい」
学内の身体測定中、幼いころの記憶がフラッシュバックした。
「165cmかあ……」
例年通り、横に記載されている女性の平均身長よりも高い数値。
幼少のころから身長は高いほうで、ようやく最近伸びがとまってきた。
ほっと胸をなでおろすと、残りの計測項目を早々と済ませ、制服に着替える。
今日は計測が終わればそのまま早上がりで、鬱陶しい放課後の能力開発もない。
「たまには羽を伸ばしに、買い物にでも出かけようかな!」
私は勢いよく学校を飛び出すと、自宅のマンションへと足早に向かった。