08
「ねえ、君って清白和女学院の学生だよね?」
「めっちゃかわいい。ね、これから遊ぼうよ」

季節は廻り、制服は衣替え。
だんだん気温も暖かくなり、夏服の半袖セーラー服も馴染んできた頃であった。
下校途中、近道をしようと裏路地を通ったのが運のツキ。
私はまた、複数の男たちに絡まれていた。

暖かくなるとこの手の奴らも増えてくるなあ。
そんなことを考えながら人数を数えてみると、ざっと5人ぐらいはいそうだ。
さすがに走って逃げれそうにない。

「さすが御嬢様。すごい落ち着いてるね」
「ばーか。びびらせてんじゃねえよ、なあ?」
「そういうお前が一番こえーっつうの」

下品な笑い声が大きく響いていた。
思わず小さくため息をつく。

「あの、帰りたいので道を開けていただけませんか」
「はあ?」

ガン、と。
私の隣で大きな音が響く。
1人の男が私の横すれすれを通って、後ろの壁を強く殴ったようだ。

「そんなの、無理に決まってんじゃん」

しょうがない、か。
覚悟を決めた途端、私の目の前に青の一本の光が走る。

「なにやってんのよ、あんたたち」

少女の声が、静かに響いた。
そこにいたのはショートヘアの少女。
後のほうにいた2人の男たちは地面に伏せるように倒れている。
どうやら気を失っているようだ。

「その制服、常盤台中学?」
「なに、今日は御嬢様ばっかにでくわすなあ。ラッキー!」
「君も一緒に遊ばねえ?君もなかなかかわいい……」

また大きな音とともに、男がまた1人、地面に倒れていく。
その様子をみて、残りの2人は驚き恐怖のあまり地面へ座り込んだ。

「ったく、つまんないやつらねえ」

そう少女は呟くと、私の手を引き大通りへ誘導していく。

「大丈夫?怪我はなさそうね」
「あ、ありがとう」

噂に聞いたことがある。
常盤台には、最強の電撃使い(エレクトロマスター)が在籍する。
それは学園都市が誇る、7人しかいない超能力者(レベル5)の第三位。
またの名を、

超電磁砲(レールガン)。


「御坂美琴……さん?」