絶対的な強さ




私の世界はきっと、あの日終わるはずだった。
それでもあなたが生かしてくれた。
私を助けて、私を認め続けたから。

だから私、信じるよ。
あなたの隣が、私の世界なんだって――……。










柄を、強く握り直した。
鼻に掠める血の匂いに、涙が溢れそうになった。
よく知っている、でも嗅ぎたくなかった鉄の匂い。
この香りが私の決意をさらに固くする。



「どけ!!邪魔だ!!!!」

群がっているユニティーオーダーを後ろから切り付ける。
舞う血しぶきを拭い、体制を低くして人の間をかき分けて進む。
その先に、見慣れた赤と黒のジャケットが飛び込んできた。

「リア……、ハッ、上出来だあ!!」

私達はユニティーオーダーを手当たり次第に攻撃した。
ロイエと言われた男の片腕をヴィダ切り落とした。
目の前の兵隊の頭を2、3人、吹っ飛ばした。

どうだ、これが私達だ。
お前たちにこれだけの強さが誇れるのか。
絶対に忘れるな。これが私達、黒縄夜行だ。
出来るだけたくさんのやつらを殺すんだ。
派手に。残酷に、ドラマチックに。

私たちの存在が色濃く残る様に。
黒縄夜行を、ヴィダを、私を、脳裏に深く焼き付けられるように。
記憶の中に、深く、深く棲みつけるように!



『ヴィダを、よろしく頼むよ』



まるで風が吹いたように、プラセルの声がよぎった。
瞬時に意識がロイエの切られた腕に向いた。
そこに映った、鈍い光を放つそれは、見覚えのあるものだった。










私、ここが大好きなの。
ここにいるとね、この世界で私が生きてるんだなって、
生きていいんだなって思えて。

何よりヴィダ、私、あなたが大好きだから。
本当よ。聞きすぎて、耳にタコだ、なんて言われるかもしれないけど。



「ヴィ……ダ…………」

目の前にヴィダの顔が見える。
私達はロイエの銃弾に打たれたみたいだ。
力なく倒れるヴィダは虚ろな目で私をゆっくりと捉えた。

「リア…………こいつら、きっと俺らの事、忘れられねえ、ぜ……」
「うん……そうね、……だってヴィダ、すっごくかっこよかった……」

私はなんて幸せ者かしら。
この世界の、一番大好きなところで命を終えらるなんて。
ごめんね、私、あなたに手を差し伸ばせたらなんて烏滸がましいかと思ってたの。
でも結局、助けられるのはいつも私の方ね。

あなたの不器用なところ、大好きだわ。
あなたの好きなところ、挙げたらキリがないくらい、あなたの事を思っている。
ねえ、本当よ。
だからこれからも私、あなたの隣に居続けてもいいかしら。



「ヴィダ……愛してるわ…………」
「ああ…………も…………」



ああ、残念。
俺もだ、って言葉が欲しかったんだけどなあ。
でもいいよ。それ以上に素敵なもの、たくさんもらえたから。

きっと私たち、ずっと一緒にいられるわよね。
死んだら楽になるかなんて、死んだことがないからわからないけれど、あなたが隣にいるなら、どんなところでも大丈夫だって思えるの。





ヴィダは私に唇を重ねてくれた。
私達は口づけを交わしたまま、ともに生涯を閉じていく。



派手で、残酷で、ドラマチックな終わりを。



Aoao