なんということでしょう。
トリップして2日、闇陣営の本拠地(ぜったいこれマルフォイ家じゃないだろ)っぽいところにまできてしまいました。
あああ。まじなんでわたしひとりでフルパ(フルーパウダー)させたしダンブリードール。
歩かされる館の中はどこまでも暗い。お前らまじお日様に当たれ。鬱になるぞ。はげるぞ。はげろマルフォイまる書いてふぉい。
わたしはめちゃくちゃな思考を振り回していた。これが、現実逃避だふぉい…ああ。
なんでこんなことになっちゃったんだろう。
おじぎをするのだをばーんしたいとか思っちゃったからだろうか。本気じゃないよ、ぜんぜん本気じゃないよ、なんならわたしわりとヴォルデモートさんのファンだよもともと、だからお願いわたしを帰してプリーズぷりーずヘルプミー。
でもほんとになんでわたしなんかに会いたがってるのヴォルデモート卿…
あれだろうか。やっぱり、わたしが異世界の住人であることはばれてるのだろうか。
リドルあたりを通じて。ていうかほらそもそもなんでリドルわたしの部屋にいたの?????あとほんとだれでもいいから誰かたすけて???????
「ここだ」
まあそんなバカな心の叫びも虚しく、わたしはルシウス・マルフォイに死刑宣告をされるのだった。
いやもうみんなまじでごめんね。未来がばれてヴォルデモが永久に天下取るエンドだったらほんとにごめんね。
そのときはみんなで仲良く死後の世界で会いましょう…
「我が君。アオイ・シーナをお連れしました」
「入れ」
もう、どうにでもなれ。
重たい扉がギィイと開いて、パチパチと暖炉が燃える音となんだか少しだけ甘いにおいがした。
うつむいてなるべく例のあの人を見ないようにしたいけど、原作通りの彼であればそれは逆効果だろう。
できるだけ姿勢を正してその人物を探す。
左奥。
きれいな机。
漆黒のさらさらの髪の毛に、紅い瞳がこちらを見ていた。
かち合う。
「・・・ッ」
なんて、きれいなんだろう。
息が詰まる。
「…はじめまして、か?」
「あ、はい…はじめまして・・・」
「年はいくつだ」
「18です」
「そうか」
低く落ち着く優しい声(に感じるのは気のせいだろうか)でヴォルデモート卿はわたしに話しかける。
人間じゃ、ないみたい。
こんなきれいなひと、はじめて見た。
妖しい赤が細められ、ヴォルデモートさんはわたしをじっと見た。
うわわ。髪の毛といてきたらよか…って殺されるかもしれないのに何をのんきなこと言ってるんだわたし…
「えっと…あの、」
「ルシウス、もう下がれ。褒美はまた遣わす、よくやった」
「はっ。誠に有難き幸せ」
その目に耐えられなくてもぞもぞして、口を開いたところヴォルデモートさんはわたしを無視してルシウスさんに話しかけた。
あれ、ルシウスさんに向けられた声は冷たい…ような……気のせいか…?っていうかルシウスさんどっかいっちゃうのまじでまじかまじかよ闇の帝王とふたりぼっちかよまじかよ。
ルシウスさんは目で失礼なことしないようにまた念を押し、去ってしまった。
重苦しい扉が大袈裟な音を立てて閉まる。
「・・・」
ふたりきりだ。
暖炉のパチパチが耳に残った。