「みにゃーぉう」
「おお…」
「えへへーかわいいでしょ」
昨日買い物後に会う予定だったのに行けなかったから(しょうがないけど)そのお詫びがてら、彼ら悪戯仕掛人を部屋につれてきた。めっちゃジェームズがごねるし。
なんとなくリドル(ちゃんとバングルの中に隠れてはいる)が機嫌悪そうだけどね…!
「ペット、猫にしたんだな。あんだけメシんとき騒いでたから梟にするかと思ってたぜ」
「でもアオイ、猫すきそうだよね」
「うん!だいすきー」
シリウスとリーマスは卿を優しく撫でている。どちらもたいへん気持ちよさそうである。
しかし猫を愛でるイケメンたちの図・・・アツイなあ、、
「にしてもなんだか変わった部屋だね。さすがダンブルドアが用意しただけあるっていうか」
「そうかな?」
「うん。家具もアンティーク調のものが多いけど、やたら古い本が多くない?」
ぼんやりリーマスとシリウスを眺めて癒されていたら、勝手にひとの本棚を物色していた(いいけどさ)ジェームズに声をかけられた。
たしかにそうだったかもしれない。
教科書とかそういうのぜんぶ、なんか昔のものみたいだ。新品は新品っぽいけど。
まあそんなもんゆっくり確認してる余裕ないから気にしてなかったんだけどねー…
「あー、なんか今じゃ使われてない教科書も多そうだな。屋敷でみたことある気がする」
「へえ…アオイ、見てみてもいい?」
「いいよー、ていうかジェームズずっと勝手に見てるし」
「ひとの部屋で眠りこけてるワームテールよりはマシだろう?僕は君にどうやって魔法を教えるか考えてるのさ」
「ははー、ありがとう。でも初めてのコタツなんだから、こうならないほうがおかしいよ。」
ピーターは丸めのほっぺたをふくふくさせながらコタツで丸くなっている。かわいい。
正直いちばん母性本能がくすぐられるのはピーターかもしれない。年相応だし。
原作じゃいいイメージぜんぜんなかったけど、やっぱ会ってみないとわかんないもんだなあ…ヴォルデモートさんに対しても思ったけど。
じゃあ他の闇陣営のひともそうだったりするんだろうか。あ、ルシウスさんは知らないけどね。あんなひと知らないけどね。
「へえ、確かに古いものが多いなあ。この変身術の本なんてとてもおもしろそうだけど」
「そうだな、教科書じゃなさそうだが参考資料か何かか?
どっちにしろマクゴナガルがぜったい選ばなさそうだ」
「モノはいいけど少しおふざけが過ぎるね」
リーマスはクスクス笑いながらペラペラとページをめくっている。
ふぅん、ダンブルドアが選んでくれたのかなあ…少しでも勉強しやすいように?いいひとだあ。
「ま、とりあえずそろそろアオイの魔法の特訓をやろうか!
キミが勉強しやすいようにとっても素敵にまとめたノートも持ってきてるよ」
「僕がね」
「あはは、ありがとうリーマス」
「ウィンガーーーディアムレビオゥサ!」
ぽよん。
みたいな音が似合いそうな感じで羽は跳ねた(ダジャレじゃない)。
「うーん」
やっぱりはじめはこの呪文だよとさんざん騒ぎ教えてもらっているが、なかなかうまくいかない。
最初はピクッとしただけで嬉しかったけど、もう8回目なのでそろそろきれいに浮いてほしい。
「なかなか発音が直らないな」
「日本人は口を平たくして話すクセがついてるらしいからね」
「もっとまぁるくふんわりできないかい?」
「できないよう…」
なんというか落ちこぼれみたいな気持ちになってきた。日本人には魔法を使う権利がないのかちくしょうめ!
杖の動きはジェームズが腕持ってしっかり教えてくれたからわりとマシになったはずなんだけど。難しいよう!!
悔しさと情けなさでだんだんイライラしてきた。みんながどう教えるべきか悩んでるのもすごい伝わるし。
はあぁ。やっぱりわたしには魔法なんて無理だったのかなあ。
そもそも会話は魔法で補正されてるんだから、呪文のほうもうまいこと補正してほしい、頼むから。
ふぅ、とため息をついたときだった。
こたつのほうから声がする。
「り、力み、すぎ、なのかも」
「え?」
「ぼ、僕も最初ぜんぜんできなかったからすごく力入っちゃって…えっと、だから発音とかも大げさになっちゃうのかも、」
「な、なるほど…!」
ああでもない、こうでもない、とジェームズたちが教え方を考えてくれているのを少し悲しく見ているとピーターがおずおずと話しかけてきてくれた。
えええ…いいこ…。
「だ、だいじょうぶだよ。
僕にできたから、アオイにもできる」
「で、でも…」
「落ちついて、やってみて?
腕はしっかりできてるから、そっちもそんなに力まなくていいんだよ」
そう言ってピーターは優しく笑ってくれた。
うわあほんとにこのこイイコすごいイイコ…!
「深呼吸してみなよ、アオイ」
ピーターに感動していると、ジェームズがにっこり笑った。
すぅ。…はあ。
そしてわたしはキッと羽を睨み付ける。
なんかできそうな気がする!改めて杖を構えて口を開いた。
「ウィンガーッディアムレビウォーサ!」
ふよふよふよ。
ぽてっ。
羽はふわふわと生き物のように舞い上がり、少し空中を散歩した後ポトリと落ちた。
わたしはそれに、体中の血管が熱くなるような興奮を覚えた。
「わああああ!浮いた!!!!!」
「やるじゃないか!」
「よかったね」
「まあまだちょっと力んでるけどね。でも2mは飛んだんじゃない」
リーマス、ピーターが笑顔で褒めてくれる。
ジェームズは先生のようなコメントともにわたしの肩を叩いた。
「うっわあああ!ありがとう!ありがとうみんな!!!だいすき!だいすき!!!」
「バカお前まだ完成してねえって」
シリウスには笑われたけど、わたしにとっては大きすぎる出来事だ。
わたしが、魔法を、使った。
ジェームズとシリウスとリーマスの教えと、…ピーターの、アドバイスで。
「も、もういっかいやってみる…!」
「その意気だよ、アオイ」
なんて、なんて。
なんて、しあわせなんだろう。
わたしにも、魔法が、使えるなんて。
顔中で笑うとピーターも笑った。
リーマスも優しく微笑んでくれた。
わたしは何もかもが無性にうれしくて、シリウスとジェームズの背中を意味もなくばしんと叩いた。