『もうこれでハリポタも完結かー…さびしいなあ』
『ね!ほんと今後なにに萌えていけばいいんだ』
『ほんとだよー…あーロンドン行きたい』
『あ!じゃあ卒業旅行にロンドンとか行かない?!
無理かな?高いかな???』
『あり!ありあり!!!
でもたしかに高いなー!!!!』
「じゃあとひあえずゆにばでがまんひようにょ」
「はあ?」
「ん…?」
目を開けたらもっともハリポタの話が通じるだいすきな友人はいなかった。
ああ、夢か。時間軸ぐちゃぐちゃじゃん。映画終わったのめっちゃ前だし。
…ていうか卒業せぬまま高校は終わってしまったんだった。さらば、わたしの青春。ていってもおたく活動にいろいろ捧げすぎてぺらっぺらなものだったけど。
・・・そういえば。
「リドルに捧げてたなだいぶ…」
「なにを?」
「うん…」
実はわたしの青春のお相手は、いま同室に住んでる地縛霊なんだった。うーん地縛霊っていうよりわたしが憑かれてるってほうが正しいかもだけど。憑の章。
そんなことともだちに言ったらどうなるだろうか。
信じてくれるだろうか、うらやましがられるだろうか、心配されるだろうか。
まあどっちにしろ誰もわたしのことなんて覚えてないんだけどね!
「…寝ぼけてるの?」
「ん・・・」
この世界もなんだかんだ楽しいし、みんなよくしてくれてるから。
失礼な気がしてなるべくセンチメンタルにはならないでいたけれど。
「りどる」
「うん?」
「さみしい、、、」
リドルの手をとっても、べつにあたたかくはなかった。
もう一度夢を見たら、また誰かに会えるだろうか。
わたしのことをちゃんと知っているだれかに。
ずっとわたしのそばにいてくれただれかに。
「おかーさん、、、」
「・・・」
もう二度と誰にも会えないことくらいわかってるけど。
「ん」
「あ、起きたの」
「んんん?!なにやってんの!!!」
「べつに」
目を開けるとリドルくんの麗しい首筋が現れた。
えええええ。またベッド入りこんできたなこいつ!
「もー!セクハラ禁止だって言ってるじゃん!!」
「べつに僕は何もしてないよ。勝手に意識してるのはそっちだろ」
「女の子の布団の中に入っといてどの口がそんなこと言えるのよう!!」
「へー、女の子だったんだ」
「(こいつ…!)」
まったく悪びれもしないリドルに(まあそんなしカワイイやつじゃないってわかってたけど!)ため息をついて起き上がる。
なんか夢を見ていたような気がするけどなんだったかな。ユニバ行こーとか言ってたんだっけ。
あんまり覚えていないけど、なんとなく元気の出ない目覚めではある。
「…そろそろあいつら来る時間だけど用意、いいの?」
「あー…なんかめんどくさい…」
「おなかは?」
「ちょっとすいてるけどー…」
どんな夢見てたんだっけ。どうせ元の世界でのなんかかなぁ。
まあセンチメンタルになってもどうにもならないから、手っ取り早く仕掛人と会ってわいわい騒いで忘れたほうが精神的にはいいんだろうけど、なんか。
うーん。曇り空だからテンションに支障をきたしてるのかね。
「…おしるこでも作ってあげようか、アオイ」
「え、リドルどうしたの突然」
「べつに。なんとなくだけど。
で、いるのいらないの」
「い、いる」
「わかった」
そしてリドルはさっさと布団を出てキッチンへ向かった。
えええ、リドルが優しい。あのリドルが優しいんだけどどうしたの天変地異でも起こるの…?
あまりの衝撃に目をぱちくりさせているとリドルが軽くバカにしたようにこっちを見て笑ったから心臓飛び出るかと思った。くそ、やっぱイケメンはイケメンだ。
そういえばこっちの世界にくるまではだいぶリドル推しでおたく活動を捗らせていたんだっけ。ぜったいリドルにはないしょだけど。
体調悪いから、って断ろうかなとも思ったけど心配させてもあれだから「転入までに読めって言われた資料あるの」って言って今日は仕掛人のみなさんとは会わないことにした。
よく考えたらリドルとふたりっきりって初日以来かもしんない。いまはもう落ち着いてしゃべれるしなんだかんだでいちばん気を遣わないでいいから今日は完全にオフモードで過ごそう。
イケメンの作った美味しいおしるこでごきげんになったわたしはそう決めた。今日はリドルとのんびり仲良くなる日!!
「というわけで、DVD見よっか」
「はあ?」
おうちデートと決め込んで、リドルが教えてくれた必要の棚を開ける。
そうそう、この部屋には必要の棚があるんだ。冷蔵庫はしもべ妖精さんたちが管理してくれてるからいつもいい感じになんか入ってたり入れてくれたりしてるけど、こっちはおそらく魔法のかかった品らしい。
つよくつよく念じて開けたらその対象物が現れる。たぶん脳内を読み取ってるだけだから開けたひとが見たこと触れたことがあるものじゃないと出てこないみたい。忘れてるものくらいなら勝手に補正してくれてるか脳の奥底から引っ張りだしてきてくれてる(たぶんこっちだと思う)からだいじょうぶなんだけど。
つまり、昔立ち読みしたジャンプは出てきてもわたしがまだ読めていない最新号のジャンプは出てこないってことだ。
あああいろんな漫画の続きが気になるのになー。まあ十分この棚便利だからいいんだけどさ。なんかデザインもおしゃれでわたし好みだし。
「なんか心震えるラブストーリー見たい!」
「ご自由に」
そしてなんとなく泣きたい気分だったわたしはお気に入りの作品を選び、膝の上の卿がびっくりしてリドルのほうに逃げるくらい号泣するのだった。苦しい。
「・・・お前は相変わらず涙もろいね」
「ぐずっ…え、なんて…?」
「なんでもないよ」
ぽんぽん、とリドルは時折泣いてるわたしの頭を優しく撫でてくれる。
あれれ、こんなにもあたたかいひとだったっけ。