「オキュラス・レパロ!ジェームズの眼鏡よ今度こそ直れ!!」
「おー」
「まあこれでかけられるくらいにはなったんじゃない?」
「いやまだ片方のレンズ直ってないから!もう僕が直していいかい?」
「それじゃアオイの勉強になんねえだろ」
「ごめんねジェームズありがとう」
冬休みもあしたで終わり!
わたしはいつも通り仕掛人たちに魔法を教えてもらっていた。
ほんとうにみんなには感謝してもしきれない。おそらくというか十中八九、アニメーガスの勉強をしたくて残っているのにこれだもん。
わたしはシリウスが手加減してレダクトした粉々のジェームズの眼鏡に魔法をかけながら、この冬休みを振り返るのだった。
最初はもちろん不安だらけだったし、何度か死ぬと思ったこともあったけど、いつもなんだかんだこの四人があたたかい居場所を提供してくれているからわたしはすっかりこの世界に親しみを持てるようになった。
学校が始まるのは少し不安だけど、それでも楽しくなればいいと思う。
いやーほんとグリフィンドールに入りたいなあまじで…勇敢じゃないけどいけるかな…帽子にお願いしようかな…
あ、でもグリフィンドールに入ったらリドルとヴォルデモートさんのご機嫌損ねそう。
リドルはともかくヴォルデモートさんのご機嫌損ねるのはよくない…ような………
「アオイ!ちゃんと集中してるかい?まったくもう僕の眼鏡がかかってるんだからがんばってくれよ」
「あ、ああ。ごめんごめん」
「そろそろ疲れてきたか?これができたらしもべのとこ行っておやつにしようぜ」
「おやつ!!!」
「そうだね。そろそろ三時だし」
シリウスがおやつって言うのなんかかわいいっていう萌えと単純に甘いもの食べたいって気持ちからわたしは目覚ましい集中力を見せた。
そしたら一発で元に戻りました。やったねジェームズ。
「んー!!
これうんまーっ」
しもべ妖精さんたちにもらったマドレーヌは絶品で、夢中で平らげているとピーターはクスクス笑った。
「アオイはほんとにおいしそうに食べるね」
「そうかなぁ?これおいしいよー」
最近ではピーターともだいぶ打ち解けてきた気がする。ジェームズは持ち前のあのテンションだし、シリウスもコミュ力高いし、リーマスも物腰穏やかで丁寧だからピーターがいちばん心配だったんだけど、実は慣れたらよくお話してくれる子なんだと思う。
なんだかんだ言っても彼らはまだ13歳。見た目が大人っぽいから忘れそうになるけど、やっぱりわかりやすいし子どもだ。かわいい。
「こっちの味もおいしいから食べてみる?ピーター」
「い、いいの?ありがとう!」
なんというか、新しい弟ができたみたいなきぶんである。
「ねえアオイ、これ食べたらちょっと外に行かないかい?」
「外?」
のほほんとピーターに和んでいたら、紅茶を飲んでいたジェームズが明るい声をあげた。寒いのになんでまた。
「そう!ちょっと会わせたいひとがいてね」
「会わせたいひと?だれ?」
「ま、いいからいいから!はやくそれ食べちゃって」
やけに楽しそうなジェームズにわたしは首を傾げる。会わせたいひと。外で?じゃあ生徒じゃないし。
だれだろ・・・・・あ。
ふと頭に浮かんだ人物に半分確信しつつ、わたしはみんなの後について校舎を出た。
「こんばんは、ハグリッド!僕だよ、ジェームズ。みんなもいっしょだよ」
やっぱりハグリッドだった!
さくさく雪の上に足跡を残し、着いたのは大きくて不思議なかたちの小屋みたいなところ。
ハグリッドにも会えるのかー!わくわくしながらジェームズが扉を叩いて声をかけるのを見ていると、少ししてそれが開いた。
「おうおめえらか!寒いのにいったいどうし…」
少し荒っぽいがあたたかみのある太い声とともに巨体が現れた。わあでかい。さすが半巨人なだけある。
そのひとは確かに長髪で髭もじゃで、なんだか全体的にもふっとしていてくまさんのようだった。
「今日は新しい友達を紹介しにきたんだ!」
「は、はじめまして!最近転入してきた…」
「アオイ」
「「「「「え?」」」」」
「アオイ・・・!!!」
ぎしっ。
目があった瞬間震える声で名前を呼ばれた。
直後骨を襲う痛みと、何かに圧迫されるような息苦しさ。
視界は突然暗くなり、あっけにとられると同時に肩にあたたかい水がぼたぼたと落ちる。
「アオイ…!!!!!」
頭上に響く声に、抱きしめられていることを知った。
これは、えっと、なんで?
「は、ハグリッド…さん…??」
息苦しいながらもぽんぽんと腕?たぶん腕を撫でてみると、余計に力がこもって圧死するかと思った。
遠くで仕掛人たちが慌てている声が聞こえる。
『チッ…』
そして、それと同時に。
なんかリドルの舌打ちまで、聞こえたような。
わたしはこの状況に理解がまったく追いつかないまま、ハグリッドの絞め殺さんばかりの抱擁に耐えるしかできなかった。
どうなってんのこれ。