眠って起きたら少し頭はすっきりしていたので、普通に起き上がって普通に夕食に行った。
リドルは変わらず出てこない。あの場にいた全員に思念体であるリドルが魔法をかけたんだから当然っちゃ当然なんだろう。思念体って魔力のかたまりみたいなもんだろうし。
夕食後、あしたから頑張ろうな・ぜったいグリフィンドールになれよ、そんな言葉をかけてくれた仕掛人と別れたわたしは部屋に戻った。
そして軽く魔法を勉強していると、時間になる。
『明日から学校か。どうせ結果は目に見えているが、一応組み分けされた寮はどこか知らせなさい』
「はい!…スリザリンじゃなかったら怒ります?」
『お前がスリザリンに入るようなら帽子のほうを疑う』
「あはは!ですよねー」
楽しかった(まあ仕掛人たちと遊んでいただけだから)冬休みは終わり、あしたからわたしの学校生活が始まる。第二の青春だ。
わたしはその訪れを間近に控え、ヴォルデモートさんと両面鏡でお話していた。これは夜寝る前の日課である。
と言ってもヴォルデモートさんは寡黙で、わたしがいつもペラペラしゃべっているだけだ。
まだあんまり慣れてないからテンション押しもはなはだしいけど、最初よりはましになったとおもう。コミュ力の成長を感じる。
『緊張はしているのか?明日からの生活に』
「少しだけ!でもせっかくホグワーツに来たんだから楽しみたいなって」
『そうか』
わたしが想像していたよりもヴォルデモートさんはずっと穏やかで優しかった。大人の余裕ってやつなのかしら!
なんとなく少しずつ自分が懐いていってるのも感じる。いや相手が闇の帝王だってことはよく知ってるつもりなんだけど…!まあ毎日しゃべってるとどうしても、ね。
『アオイ』
「はいっ」
『そろそろ寝なさい。明日は早いんだろう』
「あっ…はい。ありがとうございます!」
ヴォルデモートさんがわたしの名前を呼ぶとき、いつもなんだか胸がきゅうっとする。いい声だし、まあいろいろ慣れてるんだろうなあ。なんて。
「おやすみなさい、ヴォルデモートさん!!」
『ああ。おやすみ』
そしていつもヴォルデモートさんが姿を消してからわたしは鏡を枕元に立てかける。
いつ呼ばれてもいいように、いつも見えるところに携帯しておくように言われているのだ。
どうしてヴォルデモートさんはこんなにわたしに目をかけるのだろう。
やっぱりリドルが気づかれたくない部分、きっとハグリッドとの過去とかに何かあるんだろうか。
(ってなると秘密の部屋しか思い浮かばないけど)
タイムスリップでもすんのかなあ、わたし。まあこの世界ならありえなくもないと思うけど。
でもそれくらいで闇の帝王がこんなにわたしに良くしてくれるかあ…?
たとえその時代で付き合いがあったとしても、わたしの知りうる限りの彼らではここまでとは思わないんだけど…
本とリアルじゃやっぱり少しズレがあるのかねえ。
そこまで考えてわたしはひとつ息を落とした。
まあ考えてもわかんないし、とりあえず今までどおりなにも知らないふりでバカっぽくしているのが得策なのだろう。なんだか罪悪感はわくけれど。
それが誰に何に対する罪悪感か、じゃあどうしたらいいかどうすべきなのかは、ぜったい自問しないようにするけどね…!
『終わった?あしたは何時に起きるの』
「ん、6時。起こして」
『いい加減授業も始まるんだから自分で起きなよ』
「ハーイガンバリマース。
…ていうかリドルからだ大丈夫なの?」
『ああ。明日にはよくなってるよ』
やっぱり出てこないリドルになるべくいつも通りに振る舞いながら。
せめて明日はこのもやもやを考える暇もありませんようにとひとり祈って目をとじた。