「こっここここここここんにちは!アオイ・シーナと申します…!!ほほほ本日はお日柄もよく、い、以後お見知り置きを…?!」
「おいアイツだいじょうぶかよ。自分でも何言ってるかわかってないぞあれ」
「登場の時点で右手と右足同時に出してたからもう完全にこうなる気はしてたけどね」
大げさなまでに頭を下げるアオイを見てシリウスとジェームズがため息をついた。ピーターは気持ちがわかるのか懸命にアオイを応援している。
ほとんどみんな年下なんだからそんなに慌てなくっても。僕はあまりにも年上らしくない彼女にクスリと笑ってしまった。
まだ出会って少ししか経っていないけれど、元の世界から突然追い出されて見知らぬ環境に投げ込まれたアオイは腐るでもなくヤケになるでもなく本当によく頑張っていると思う。
魔法も発音の壁やら何やらにつまずきつつもきちんとこなしていってるし、きっともともと頭がいいのだろう。努力することをそんなに苦としていないというか。
珍しさからかシリウスとジェームズは彼女と友好な関係でいることを強く望んだし、彼女自身居場所ほしさに僕たちのところに安定を求めたけれど、学校が始まればまた彼女はいろんな人間に好まれると思う。
やっぱり年上なだけあって聞き上手だし話もおもしろいし、元来たくさんの人に囲まれて生きてきたほうの人間なのだろう。
けしてその場でいちばん目立つというわけではなくても、当然のようにひとに好かれ当然のようにひとを好きになる。
「ミス・シーナは病気でずっと入院しておってのう。完治したためやっとホグワーツで君たちといっしょに勉強ができるようになったのじゃ。
本人の希望で3年生から編入という形になるが、彼女自身はまだほとんど魔法について学んでおらん。
多々困ることがあるじゃろうから、皆そこを理解した上で優しくサポートしてやってくれ」
「よっ、よろしくお願いします!!」
あたたかく拍手で迎えられ、顔を綻ばせたアオイ。
その音に一歩遅れながら、僕も手を叩いた。
「ではそろそろ組分けに入ろうぞ」
吐きそう。吐きそう。吐きそう…!!!
ここまで緊張したことがいまだかつてあっただろうか、いやないよないよないよだってこんなに大勢の前に立たされること自体経験ないもん!!!
目の前に広がる光景はどこか映画でみたそれに似ていてますます現実感を失わせる。
ああ、本当にトリップしてきてしまったんだ。ひとが多すぎてわからないけどきっとスネイプせんせーもレギュラスもどこかにいるんだろう。ルシウスさんは知らんけど。ていうかあのひと年齢的にもう卒業してんじゃないの?これパラレルワールドなの????
目が回りそうになりながらガチンゴチンとロボットのように歩き、帽子の元へたどり着いた。
だいじょうぶですよと優しくマクゴナガル先生が声をかけてくれたけど喉がカラッカラであう、あ、とかしか言えない。なんなのわたしほんとなんなの。
とりあえず椅子に座らされマクゴナガル先生の手で帽子を被される。
目の前が真っ暗(物理)になった。
『こんにちは、お嬢さん』
「こっ、ここここんにちは!」
被った瞬間妙にエコーされた声が聞こえてきた。こいつ…直接脳内に…!って感じてはなく、頭のまわりで声が響いてる感じだ。あばば今からついに組分けが始まる…!!
『キミの行きたい寮はわかっているよ』
「え、ほんとですか!?」
緊張して今度は口の水分が飛ぶのを感じながらも無理やり声を振り絞ると、うむと深い肯定の声がした。
ややややっぱり伝わるか…このグリフィンドールにかける執念は…!!
「そ、そこにいれてくれますか…?」
『ああ、止めても行くんだろう?』
「えっ…わ、わたしやっぱり向いてないですか?」
『まあな。
しかし頑張れ、おぬしならどこでもやって行けるさ』
投げやり!?!?!?
あまりのテキトーさに一瞬言葉が飲み込めなかった。
にしてもたしかにわたしはチキンだけど、なんだかんだでグリフィンドールがいちばん向いてる気がしてたんだけどなあ…まあ入れるならなんでもいいや!
うんうんと自己解決して切り替える。
まあ寮風に合わなくても、ジェームズ達がいるしなんとかな…
『スリザリン!!』
「なんで!?」
なんとかなるか、そう思ったとき。
まったく予想していなかった寮の名前が頭の中に響き渡った。
すりざ、りん。
・・・。
なんで!?