まるで青春の日々よ!

なんかよくわかんないうちに朝はリリーたちと食べることになっていたのでいまはおなごで固まってと大広間に向かっている。

みんなで食べたほうがおいしいのになあとは思うものの、あんなにきもちわるいジェームズの相手すんのもだるいし8人で移動なんてめんどくさいからとりあえず流れに任せた。
いやあわたしなんて取り合いしてもなぁんにも出ないんだけどなあまじで。転入生マジックすげえなあ。

ふうーとわたしは小さくため息をつき、とりあえず仕掛人に手を振った。




「好きなたべものは?」
「だいたいみんな好きだよ。あんま嫌いなものないなあ」
「まあ偉いのね。そういえば日本の料理はとてもおいしいって聞いたことがあるわ」
「おいしいよ。あっそういえばあれ、あんこがおいしい。いまいっぱい部屋にあるからまたあげるよ」
「あんこ????なあにそれ」
「甘い豆?かな」
「わたしも食べたぁ〜い」
「日本料理は興味あるなー」


そして転入生あるあるの質問攻めに答えながら歩いていた。
すれ違う人はチラチラわたしを見てくるし、昨日ちょろっとしゃべったグリフィンドールの子には笑顔で手を振られる。

うおーめっちゃ目立つじゃん転校生…しばらく気ぃ使ってないといけなさそうでだるいなあ…



またため息をつきそうになるも、リリーたちに心配されるのも申し訳ないしちょっとめんどくさいのでガマンする。
はやく仕掛人と卿と部屋でごろごろしたくなってきた。どうしよう何もかもめんどくちゃ…



「あらセブ、おはよう!」
「!」



やばいなー完全に自分いま不機嫌だ早くご飯食べなきゃ、と思っていたとき。
突然リリーが今までより少し大きな声を出した。

彼女が向いているほうを見ると、そこにいたのは。


「(うっわ陰気くさ!!!!)」


い、少年だった。









「お、おはようリリー…!具合はどうだい?
昨日は体調が優れなかったように見えたけど…」
「全快よ!前日に夜更かししたから列車にちょっと酔っちゃったみたい。寝たらすっきりしたわ」
「そ、そうか…!よかった」


ちょっと油っぽいべたっとした髪が顔にまとわりついた少年は、リリーにとても熱い視線を送っていた。

わあ、ほんとにすっごく好きなんだなあ…これがセブルス・スネイプか、と理解するより先にそう思った。



「アオイ、彼はセブルス!幼なじみなの」
「あ、ど、ドモ…アオイ・シーナです」
「…セブルス・スネイプだ」



うっわ興味なさそう!!!!!!わたしのことなんて死ぬほどどうでもよさそう!!!!!!


無愛想に会釈したあとまたすぐにリリーに視線を戻すスネイプ先生(子)。
いやここまでわかりやすいとお姉さん好感持ててすきだよ!



「も…もう転入生の友達になってあげたのか?相変わらず君は、や……ゃ…………やさし…」
「やだわセブルス、そんな言い方しないで。友達はなってあげるものじゃないわ」


おそらく優しいと褒めようとしたのであろうセブルスの言葉をまったく聞いていないリリー。
うわあ。不憫だ。これはスネイプ少年のこと応援したくなる…!まあセブルス自体も顔をしかめたリリーの苦言を聞いてなさそうだけど。なんか名前呼ばれるだけで舞い上がってないかね。幼なじみなら何回も呼ばれてるだろうに…

美人ってたいへんだなあ。ジェームズといいセブルスといい、お構い無しで惚れてくるんだもんなあ。


いやーわたしもこんな甘酸っぱい恋愛したいわー…なんて思いながら眺めていると、後ろからため息をつくのが聞こえた。

…あれ、ケナとサーシャの顔が死んでる。




「リリー、はやく朝食に行かないと授業に遅れるぞ」
「そうだよぉ〜おなかもすいちゃった!」
「え?あ、そうね!行きましょうか。

じゃあまたね、セブ」
「あ、ああ…」


リリーは笑顔でセブルスに軽く手を振った。彼はとても名残惜しそうにリリーを見つめている。


それに顔をしかめたケナは、とんっとリリーの背中を前に押し出すように叩いた。

・・・あ、そうか。
セブルス・スネイプは…嫌われてたんだ。



何歩か進んでちらっと振り返ると、セブルスはまだじっとこっち(というかリリー)を見ていた。

ひゃあ、なんて純情な片思いなんだろう…ちょっとストーカーくさい、とは言わないでおこ…


「まだこっち見てるよぉ〜。ほんとストーカー気質よねぇ〜」



言わないでおこうとガマンしたのに、サーシャはさらりと言ってしまった。

このコ見た目にそぐわず毒舌だなあ…歯に衣着せないというか…!
そういうコ好きだけど。


ケナもまたため息をつく。リリーは「ただの幼なじみよ。失礼だからやめて」と軽くいなしていた。

わたしはとりあえず18年の女子歴を生かし、テキトーに流しながら三人の話を聞いていた。

あー。なんか。
久しぶりにするこういうそのー…女子女子した会話ね!うん、女子女子した会話。

ちょっとそのー・・・。


…めんっどくさい。


















「え、アオイ次マグル学なの?困ったわね…私たちルーン文字学なのよ」
「あっそうなの?」
「とりあえず教室だけ案内するわ。ひとりで受けることになるわね…ごめんなさい」
「え、ぜんっぜんいいよ!むしろ今までありがと!!!」


朝食後、いくつかの授業を受け。
変身術や妖精の呪文ではずいぶん先生と彼女たちに助けてもらい(ちなみに仕掛人も手を貸そうとしてくれてたけどリリーがものすごい形相で阻止してた)。

次の授業は…という話になったときに、こうなってしまった。


マグル学の教室はちょうどルーン文字学の教室までの道にあるらしく、お言葉に甘えて案内してもらう。
ひとりで大丈夫?ってなんども聞かれたけど、正直やっとひとりになれて安心した。


いや、三人ともかわいいのよ!いいこだしおもしろいし。ほんとに!
でもずっといっしょはちょっと疲れるっていうか!実はひとりで気ままに行動する時間もたまにはほしいっていうか。

とりあえずやっとバイバイできて、申し訳ないけれど少し安心した…



ところに!





「アオイ?」
「へ…。
ありゃ、シリウス!」
「お前マグル学取ってたのか!」



扉を開けようとしたら、ななめ後ろからシリウスの嬉しそうな声が聞こえてきた。
振り向くと顔中で笑うイケメンがいる。…この子はお姉さんを萌え殺したいのかなあ。






「やーっといっしょになったな!ったくあのエバンズよーマジうっとうしい」
「あはは。いい子なんだけどねえ」
「お前だって何回も俺らのとこ来たいって思っただろ?遠目から見ててたまに顔死んでたぞ」
「えっウソ」
「ホント」
「うっそぉ〜!」
「ウソだよ」


そう言って悪戯っぽく笑うシリウスはやっぱりほんとにかっこよくて、同時になんか安心した。

わたし、仕掛人っていうかシリウスのこと好きなんだなあ。




「へへ、でも嬉しいなあやっと話せた」
「そんなこと言うなら最初から俺らのほう来いよ」
「女の子の友達も大切だもん!でもわたしシリウスとしゃべるの好きだわ」
「ふーん。惚れとく?」
「はは!それはないや〜女たらしらしいし?」
「ぐ」
「あ、否定しないんだ」


じぃっと見つめるとシリウスは気まずそうにあさっての方向を見る。
まあかっこいいしねえ。女のコなんてよりどりみどりだわねえ。


「そ、そんなことよりなんでお前マグル学なんて取ってんだよ。」


不自然に話題を変えたシリウスは、もともとマグルのくせにと小声で付け加えた。


「だからじゃん!」
「はあ?」
「勉強しなくてもいちばん成績取れる可能性あるじゃん!!!」
「…お前なー」



あきれられたけどこれすっごく大切なことだと思うの。リドルには虫を見るような目で見られたけど、そうでもしないとね!!!他がむしろマイナスからのスタートくらいの勢いだからね!!!しょうがない。


「シリウスはなんでマグル学?」
「ん、親が発狂したらおもしれーなと思って」


…こいつもこいつじゃんね。










マグル学の内容は、18年間マグルをやってたわたしにとってはとっても簡単だった。
むしろシリウスがわたしに時々小声でいろいろ聞いてくるぐらいだ。



一応この時代はわたしの生きてた時代より40年ほど前だから、内容自体はとても古い。
40年前ってたぶん携帯すらないし。ポケベル…?


だからシリウスにわたしの生きてる時代の話をしたらとても楽しそうに聞いてくれてなんだかちょっと懐かしくなったし、嬉しかった。

いろんな話をしたけれど、彼は特にバイクに惹かれたらしい。かわいいなあ。





「いつか俺も行ってみてえな。日本に!」
「ふふ、卒業してからでもわたしがいた時代よりずっと古いけどねえ」
「ふーん…そんな日本には興味ないか?」
「ん?いや…逆にそうでもないかも…」
「じゃあいつか行こうぜ。夏休みにでも!」
「ん」


日本の夏か。

祭につれて行って、浴衣を着せたら…とってもかっこいいかもしれない。

想像してみるだけでときめいて、とても楽しみになった。


「約束だぜ!」
「おーっ」

「こらそこ、さっきから私語が目立ちますよ!!!!!」


そうして盛り上がっていると、教卓から怒号が飛んできた。


「!
スミマセン!!!!!!」
「はーーーい。」


そういえば、18年わりとまじめに生きてきて…先生に私語で怒られるのははじめてだったかもしれない。

慌てて謝るわたしと、悪びれる様子のないシリウス。
ジト目で見ると、彼はへへっと笑った。




・・・ああ、なんだか。


こういうの、いいなあ。





窓の外は真白な雪で。
でもとても爽やかに晴れていた。

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