『アオイさん、どこですか、アオイさん…』
ここにいるよ?
『アオイさん、会いたい、アオイさん…』
ここにいるってば!
『どうしたらアオイさんに届くんだ、アオイさん……』
届いてるよ、ねえ届いてるけど、あなたはいったい、あなたは…
「……アオイ、おい」
どうしてあなたは…
「おいアオイ、授業終わったぞ、おい」
あなたはわたしの…
「起きろって!」
ビシッ!!!
「ひぎっ!!!!!」
じーん………
突然デコに激震走る。
目を開けたらなんというか、予想通り彼だった。
「しりうずいでゃい」
「なに言ってるかわかんねーよ。お前寝過ぎ、マグル学もう終わったぞ」
「うそ!始まってもないのに?!」
「始まる前から寝てたんだろ」
どこまでも呆れながらシリウスはそう言う。
えーそんなに寝てたんだ。うんなんかちょっとスッキリした。でもまだ眠い。座ってた席日当たりよくてきもちいんだよなあ…
「体調でも悪いのか?死んだみてーに寝てたぞ」
「だいじょぶだいじょぶ。生理前なだけ」
「なっ…お前そういうのを男に向かって言うな」
「え〜〜〜〜?シリウスってばわりと純情だよねえ」
「殴るぞ」
あははやだよう、そうやって笑いながら逃げるとシリウスはちょっと追いかけてきてぽかっとわたしの頭を叩いた。
イケメンだなあ。まだ13?だっけ?なのにわたしよりぜんぜん背高いし睫毛長いしほんとどういう造形してるんだろう。
リドルもちょうイケメン?ハンサム?美形?麗しいけどシリウスも相当だ。いやあ恵まれた世界に生きているありがたやありがたや…
「何じっと見てんだよ」
「いやあかっこいいなあと思って」
「バッ…!お前は急に何を、」
「えー照れんなよ〜どうせ言われなれてんでしょ〜?」
「どこのオッサンだよお前はほんと恥じらいを持て」
はいはい、とケタケタ笑ったらシリウスは大きくため息をついた。
シリウスがバカって言いながら顔ちょっと赤くして照れる?の?かわいくてすき。
ふふふん、となんとなくご機嫌になっていたら、呆れていたシリウスが口を開いた。
「…あ、アオイ」
「んー?」
「あのさ、そのー…今日俺らお前の勉強付き合えねえんだ」
「ん?なんで?」
くるっと振り向くとシリウスはなんだか取り繕うように笑った。なんかあるなこれ。
「…いやあ、ちょっとな。フィルチがよ」
「えー?みんなで捕まったのー?」
「そうそう。ワームテールがちょっとな、下手しちまって!」
「もーほんとそろそろ落ち着きなさいよこどもじゃないんだから」
「おう!今度からうまくやるって」
にかっとシリウスは笑った。なんか怪しい。なんだろ。
よっぽど悪いことして重めの処罰でもきたのかなー。
そのときピリッと子宮に痛みが走った。
「んぃっ、」
「ん?どうした?」
「んー…ん、なんでもなーい」
きたか、生理…。
考えると重くなる腰に手を当て、シリウスにばれないようため息をついた。
「あれ?」
「どうしたの?」
シリウスと別れてリリー達とごはんを食べながら、ふと向こうを見るといつもと違うことに気がついた。
「リーマスがいない」
仕掛人たちの中に。
といれ?とか思いながらキョロキョロとあたりを見回していると、リリーが教えてくれた。
「ああ、彼病気なのよ。聞いてない?月イチくらいで体調崩すの」
「え、たいへ…あ!そ、そうなんだ…」
「家系みたいでね、家族の方もそうらしくてときどきお見舞いに行ってるようよ」
「へ、へえ…」
その言葉にハッと察する。そうかたぶん、今日が満月なんだ。最近リーマス本当に調子悪そうだったし。
・・・え、じゃあ今日の夜シリウスたちに会えないのって…えっまさかもうあいつらアニメーガスやってるってこと?はやくない?3年生だよねまだ!
そんな高度なことできちゃうもんなの?びっくりしながら考えていると、ふと二年生でポリジュース薬を作っていたしハーマイオニーを思い出す。うーーーーーん。あれも相当な難易度のものだし、そこまで妙ではないの・・・?かな・・・。
あんまり危ないことはしないでほしいなあ。ふう、とため息をつきながらポタージュを飲んだ。頭いてえ。
そうこうしているうちにランチタイム終わり。今日はなんと、久しぶりにレギュラスを探しに図書館に行こうと思っている!
のだけどなんだこれまじ腹いてえ。やばい。これはやばいタイプのやつだ。なんなら自分史上いちばんキツイやつきたかもしんない。
しんどすぎて頭ももやもやしながら考えるけど、これやっぱ廊下さみいっすわ。冷えほんと体によくないっすわ。
うーん吐き気してきた…きもちわるい・・・。
『ちょっと大丈夫?』
「ん…ん、むり…」
すると心配したようなリドルの声がする。リドルはわりとわたしに優しいとおも…おなかいてえ…
とりあえずせめて、と壁にもたれて波が過ぎるのを待つ。あっむりむりむりおなか痛いしゃがもう。タイツの上にはいている毛糸のパンツ見えちゃうかもだけどどもうむり、しゃがむ、おなかいたいおなかいたいおなか!おなか…
脂汗がおでこににじむのを感じながら目をぎゅっとつぶったとき。
「…大丈夫か?」
真上から低い声がした。リドルの甘い声とは違う。
「ん……あ、」
「お前は…リリーの、」
くらっ、
セブルスだ、そう思って立ち上がろうとした瞬間、きゅう〜ぱたんと意識がブラックアウト。
左手が誰かに握られている。温度がないからリドルだろう。
そう思いながらわたしは、そのまま完全に思考をシャットダウンした。
耳が、熱い。
『アオイさん、会いたい・・・』