ハロー、ハロー、ハロー


驚いたことにダンブルドアは部屋まで用意してくれた。
4人と別れて、二階にある唄うたいの人魚姫という美しい絵画に合言葉を告げる。

偶然なのかなんなのか、合言葉はわたしが好きな歌のタイトルだった。もしかしてこの美しい人魚姫が歌ってくれるんじゃ!とか期待したものの、普通にきれいな声で「どうぞ」と言われて通された。


ちょっぴり残念だけど、なんだかそう言った人魚姫の目がびっくりするほど優しかったのでわたしはドギマギしながら絵画の奥の階段を駆け上がるのだった。



なんだろう、この感じ。




駆けた先には小さな扉があった。なんだか不思議の国に行くみたいでテンションがあがる。アンティーク調でいかにもそれっぽいし…。

わたしはドキドキしながらそれを開けた。








「…まあかわいい」



そこに広がっていたのは、なんとも。
わたしの好みを具現化したような部屋だった。


「うわぁ…!」



ひとりで住むにはちょっと広すぎるかな?くらいの大きさ。

見たところキッチンもお風呂もトイレもちゃんとついてる。あ、こたつもある。なにこれほんとにすてき…


全体的に暖色の、あたたかい部屋だった。家具もやっぱりアンチック。ところどころにゴシック調のものもちりばめられていた。


しかも大きなくまのぬいぐるみもある。
ふえぇ…すてきだよぉ……………



「ん?」



うっとりしながら歩いていると、前を通った姿見の向かいにある机の上で何かが光った気がした。


なんぞ??


首を傾げるも、とりあえず鏡が気になるので後回しにする。この鏡かわいい。おしゃれ。やっぱ女の子なんだもん姿見は必要だよね!とか思ってたら間違い探しに気づいた。


「・・・あれ」


ピアスが、わたしの、耳に、ついてる。




「へ!?」


おおおおおつけた覚えなんかないんだけど…あけてないぞ!穴!わたしチキンだしビビリだし痛いの!怖いし!!!


とかしばらく慌ててやっと気づく。


よく見たらこれ、


「さっき渡されたやつか!」



そうだ。時空の狭間で管理人に渡されたロッドとまったく同じ形だ。そういえばくれるって言ってたっけ。じゃあなんかしらわたしのためになるっていうか役に立つやつなんだろう。一応ずっとつけとこう……わりとかわいいし。



にしてもなんだか今日は疲れた。そりゃいろいろあったから当然っちゃ当然なのかもしれないけど。
リーマスにもらったスコーン食べてはやく寝よう。なんか冷蔵庫に飲み物あるといいんだけど…いやたぶんあるかホグワーツだし。

わたしは姿見から離れてキッチンのほうへ向かった。



「(にしても、)」


よりによってハリポタの世界の親世代とはなあ…しかもピンポイントで関わったのが主要メンバーばっかりだ。
よく考えたらわりと危ない世界だよね、ここ。おじぎをするのだ!がまだ牛耳ってる時代だし・・・



・・・うわ。

いまものすごく当然なことに気づいちゃったけど、わたしが今日出会った人間みんな死ぬじゃん………



なんというか恐ろしすぎて目眩がした。なんてことだ。えー…実は闇の帝王なんていないパラレルパラレルパラレルパラレルパラレルパラレルワールドとかじゃないの…ちがう?

・・・食欲失せた。



「寝よう…」


冷蔵庫を開けたらいろんな種類の飲み物があったので、とりあえずミネラルウォーターを選んで飲んだ。

うへぇげっそり。気づきたくなかったよこの事実……寝よう………あ、服どうしよなんかあるかな…


むこうにあるベッドの隣にタンスやらクロークやらを見つけたのでそちらに向かう。なんか一気に力が抜けた。ふわふわもこもこのパジャマとかないかな。ほしい。


そんな感じでぼんやり考えごとをしながらそちらに向かっていると。


「ん」


また視界の端で何かがキラッとしたような。そちらを向くとやっぱり勉強机がある。

・・・んー?



入ってきたときは何もなかったような気がするんだけど。教科書っぽいのがあるわー、って感じで流したことしか覚えてない。

とりあえずよく確認しようと机の前に立つ。…あれれ。


「きれー・・・」


三連の…バングル?
細身のシルバーで、それぞれに赤と緑と透明の石が埋め込まれている。これ宝石かな?

ルビー、エメラルド、ダイヤモンド…?なんて考えながら手に持つと、



───シャラン。





音が、した。









『遅いよ』
「!」




途端、耳元で聞こえるは誰の声か。

わたしをきつく抱き締めるのは、誰の、腕か。




止まりそうなほどびっくりした心臓。固まる体で目だけ下に動かすと、男のひとの腕が絡み付いてる。




「……ヒッ、」


おば「けじゃ、ないからね。まったく」



わたしの思考を読んだかのように、青年の低く甘い声が耳元に響いた。



「僕のこと、…知らない?」
「・・・だれ、ですか」



震える声で絞り出した言葉に、その“彼”はくつりとひとつ笑い、わたしの顎に手をかけ斜め後ろに持ち上げた。



かち合うは、赤。




「はじめまして、アオイ。

…ずっと君を、待っていた」




わたしのそれに押し当てられた唇に、体温はなかった。


それよりもわたしの頭に回された、髪を優しく掴むその手がやけに印象的だった。



(指先からこぼれるものは、)

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