「なるほどねー」
あたし、シルバさんにも試されている。
第14話
理想のおねえさん
依頼されたときなんとなく既視感があったけど、やっぱりシルバさんの笑顔には見覚えがあった。
ゼノさんと同じであたしを試そうとしている。
親子だなあ。
ディアエラの花はとても貴重で、8年に1回だけ満開になるらしい。
その蜜はとても独特で、巨大な蜂(平均3メートル)の群れが守っているらしい。
その上ピセルト川はかなり奥まったところにあり、入るにしても魔獣たちと戦わないといけない。
「ぬーん…」
まあ、頑張るかー
ミルキさんにもらった痛パソをかたかたしながらあたしは息を吐いた。
わりとめんどくさそうな任務である。
満開は、一週間後。
「夢の力を秘めし鍵よ…真の姿を我の前に示せ。
契約なんてないけれど、あたしが命じる!レリーズ!!」
ふざけた詠唱で杖を具現化したあたしは、今度はカードを具現化する。
ちなみにこの隙だらけの詠唱は絶対やらないといけません。そういった制約です。
「サンダー<雷>!!!!!」
そしてわたしは雷をキツネダヌキみたいなよくわかんない魔獣に落とす。数が多いぜまったく。
ちなみにあたしの攻撃で気を失うと生命エネルギーを奪われる仕組みになっています。うまいこと考えたぜ。げふっ。
そして次に見えるのは…
「わあでっかーい!!」
びっくりするほど巨大な芋虫。きんもー!
10メートルくらいあるかなあ。体固そう!
「セオリーは、」
ぴょーん!ジャンプ<跳>で靴に羽を生やして空を跳ぶ。
「目潰し!」
そしてソード<剣>で杖を剣に変えて目をえいやと切ってやった。ごめんね。痛いよね。帰るとき治すから。
倒れる芋虫ちゃんをまたぎ、さらに次の段階へ。
うーん。今のところあんまり強くないよシルバさん。
「あんた強いわねえ」
「ほ?」
さくさくプレイをしていると女の人の高い声がした。
そちらを見てみると、ピンク色の髪の毛を5つに結んだおっぱいおっきいお姉さまがいる。おっぱいおっきい。おっぱいおっきい。
・・・あれ、えっとあのひと…!
「あたしはメンチ!美食ハンターよ。あなたは?」
「サナ…あ、本名言っちゃった。まあいいや!CATって名前で何でも屋やってるサナって言いますー!!」
やっぱりメンチだ!
原作を読んでいるときからあの竹を割ったような気持ちのよい性格と美しい外見が好きだったあたしはうっきうきでぴょんぴょん跳ぶのをやめて地上へ降りた。
「あなたもディアエラの花を取りに?」
「はいっ依頼されて!メンチさんもですか?」
「そうよ!あの蜜を取り逃す手はないからね」
そう言ってメンチさんは包丁を回した。あ、人間とは違う血のにおい。メンチさんもばたばた倒してるっぽいな。
「よかったらいっしょに行かない?目的はいっしょでしょ」
「はいっぜひ!」
こうしてあたしはメンチさんと行動を共にすることにした。
「ひゃーあんたいい腕してるわねー。いつからこの仕事してるの?」
「えっと…2週間前くらい…?」
「え、ウソ」
「ホント」
メンチさんはとても明るくかわいく、なんだかんだで一瞬で打ち解けた。
実はさっそく今日からカルトちゃんにもらった着物を着てるんだけど(だからわりと動きにくい。そろそろ慣れてきたけど)、それも誉められて嬉しい。
よく考えたら共同戦線なんてはじめてだ。こっちに来てれっきとした(?)女の子とこんなに話すのもはじめて。カナリアとはまだそんなに仲良くないし。
いやぁうれしいなー!
「にしてもほんとにめんどくさい土地ねェ。実はこれリベンジマッチなのよ」
「そうなんですか?」
「ええ。8年前にも来たことがあったんだけど…まだまだガキだったし手も足も出なかったわ」
「あー」
でもそう語るメンチさんはどこからどう見てもわくわくしていた。食への探求心、本当にすごいんだなあ。
「あ、無事にディアエラの花をゲットできたらまたどっかで会いましょうよ。
この密はこれ単体でも取れたては至福の味がするんだけど、保存してゼリーにすると最高のスイーツになるのよ」
「えええなにそれうまそう」
「せっかくだし作ってあげるわ!なんかあなたのこと気に入ったのよ」
「うっわあああいありがとうございます!!!」
そうだあたし、昔こんなお姉ちゃんがほしかった。
「うわぁ、きれー…」
たどり着いた場所には、大輪の紅い花があった。
チューリップ…に少し似てるかもしれない。もっともっともっと花びらの枚数は多いし、本当に血のようなあかいろだけれど。
そして何より身体中から疲れ?強ばり?がとれるような、リラックスできる優しく甘いにおいがする。
この花が好きなのか、キキョウさん。さすが、お目が高い。
「!サナっ」
「!!」
一瞬ここがどこであるかを忘れて惚けてしまったが、そうだいま仕事中だった。蜂(いやこれ5メートルはあるよ)の大群が襲ってくる。どう森もびっくりだ。
「くっ…やっぱりキリがないわね、」
メンチさんは鮮やかなナイフ捌きでばったばったと敵を倒していくが、なんせ数がハンパない。
倒してたらほんと夜が明けるよ…昼過ぎにここについたのに狐狸やら芋虫やら化けガエルやら巨大カタツムリ(ほかにも多々)倒してたらすっかり夜になってしまった。
月明かりで視界は良好だけど(余計に花が幻想的に見えたし)、そろそろ帰りたい。
うーーーーーーーん………あんまりやりすぎるとまじで殺しかねないんだけど、しょうがないか………
「メンチさん、こっちきてあたしから離れないで」
「え?」
はてなを浮かべながらメンチさんが近づいてきたので、あたしはまたカードを具現化し大きく息を吸い込んだ。
「ウインディ<風>!」
ゴーーーーーーーッ。
そう叫ぶと巨大な竜巻が現れ、すべてのものを飲み込んでいった。
ちなみにこちらも竜巻内にいるものから生命エネルギーを奪います。うまうま。
近づいてくる蜂は、風に飲み込まれて消えていく。
圧倒的平穏を無事に手にしたのであった。
「これで気にせずディアエラの花取り放題ですね!」
あたしがへらりとピースすると、メンチは一瞬キョトンとし、そして。
「すごいわ!!!!」
「え」
唐突にめっちゃ拍手された。パチパチパチ。
「あなたほんとに…!久しぶりにこんないい使い手に会ったわ!!!!」
「え、えへへ…アリガトゴザイマス」
なんかちょう誉められてる(照れる)。
そしてあたしとメンチさんは念願のディアエラの花をゲットし、あたしは蜂さんが疲れてるだけで生きてるのを確認し、芋虫さんやカタツムリさんの傷を治し、大満足でまたゾルディック家に向かうのだった(速達がモットーです)。
また今度メンチさんと遊ぶ約束したし!
たいへんしあわせでござるよ!!!!!