お呼びでない

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「なあ嬢ちゃん、これ直せるか?金はこの試合に買ったらいくらでも…」
「よいしょ」

ぽわん!


壊れた腕時計を元の状態に戻してあげると大男は泣いて喜んでくれた。
お母様の形見をずっと前に壊してしまい、どうすることもできないままいつも袋に入れて大切に持ち歩いていたらしい。


「お金いらないですよー。あっでも宣伝はしてくれると嬉しいです、これ名刺」
「あんた!!!!!漢だな!!!!!!うぉぉおぉありがとう!!!!!」
「女です。はい、これハンカチ」



第19話
なんということでしょう




天空闘技場は1日1、2試合が基本で(よっぽど余裕そうだったり頼んだりしたらまだ闘えるみたいだけど)、あたしはのほほんと130階まで上がってきた。


最初は若くて着物でぽけっとした女の何でも屋ってことで、飢えた男どもにセクハラっていうか下卑た言葉を浴びせられていたけれど、なんかうざくて1回壁を素手で殴って穴を開けて「よかったらあなたたちも風通しよくしてあげましょうか?」って言い放ったらみんなおとなしくなった。

それからはなぜか人探しやら猫探しやら物の修理やら、ほんとうにただの何でも屋みたいなことを良心的すぎると言われる価格で行っている。
だって別にお金困ってないしもうすぐ2億入るし宣伝になるし。


なんというか順風満帆だ。

歌のほうも日に日にひとが増えてきて、カラオケでしか歌ったことがなかったあたしはなんならもう歌手気分だ。


そろそろ身の回りも落ち着いてきたし、カルトちゃんに会いたくなってきたけふこの頃。

でももしキルアと鉢合わせてバレたら、って思うと(まあいまのところ歌っててもキルア来てくれてないけど)正直ちょっと行きづらい。


キルアとイルミはあの家の中でも特に働いているみたいだから、行ってもいないんだろうけどね。



「まあでもカルトちゃんにメールしよっかなぁ、この試合終わったら」


そうこうしているうちに番号を呼ばれたので、あたしはへーいとリングに向かった。















「ウソ!」

いつも通りさくっと勝利し(そういえばあたしさくさくプレイの着物美人とかいう意味がわからないあだ名がついているらしい。もうちょっとほかになかったのか)、控え室に戻り携帯を開くと、なっなななんとカルトちゃんからメールが届いていた。

衝撃の事態!!!以心伝心!!!!!


ついにマブダチカルトちゃんのデレが拝めるターンだろうか、とわくわくしながらメールを開くとそこに書いてあったのは、しばらく来るなといった内容だった。
・・・なんで!?



















その後メールのやり取りをして判明したが、どうやら昨晩キルアが家を出たらしい。
原作通り、キキョウさんとミルキさんをぶっ刺して。


それによりいまゾルディック家はたいへんなのだそうだ。…なんとまあ。


「だいじょうぶなのかなー…」


一応あのこまだ子どもだし、お金とか住むところとか。

うーんと唸りながらもカルトちゃんに了解メールを送る。
ちょっと心配でござるよ。会いにきてくれたらごはんなりなんなりあげるんだけど………まあキルアのことだからそのへん抜かり無さそうかなぁ。


でもハンター試験まではあと半年あるんだよ。それまで何してるんだろう。…て言っても殺しをしてるよりはましか。


・・・とりあえずもうお昼時だしランチでも食べに行こう。
今日はいつもより早くから歌おうかな。いやキルアが来てくれるかなんてわかんないけど…

そんなことを考えながらぽやっとしていると。



ドンッ!



誰かにぶつかってしまった。


「あ、すみません!だいじょうぶですか!?」
「ウン★こちらこそごめんね◆」
「!?」


独特な話し方に高い背。

謝りながら顔を見たあたしは硬直した。



「ヒソカ…」
「ん?ボクのこと知ってるの?」
「あっいや…えっと」




ヒソカあああああああ!?




なんでヒソカがここにっ…あ、そうかこのひとここの常連だったっけ…!!!




「に、ひゃっかいクラスの、闘士、ですよね」
「そうだよ★キミは?」
「あたしはしがない130階です…」
「ホントに?でも・・・」



──とってもおいしそう・・・◆



耳元で囁かれあたしは背筋が凍るのを感じた。




やばい。こいつ。


やばい!




「ああああたしこれから用事あるんで!じゃ!すみませんでした!ホントに!」
「待ちなよ★」
「すみませんっしたァア!!!!!」



そしてあたしは脱兎のごとくヒソカの前から姿を消し、かなり離れたレストランまで飛びわざわざ個室の席に案内してもらった。パニック。


逃げるとき、またね◆とか、聞こえた気がするのは、気のせい。気のせい。気のせい…!

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