困ったひとだ

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「よし、じゃあ昼飯にするぞ」
「いっただっきまーーーーーーーーす!!!!!」


第7話
自分について知ることは





ジンさんに自分の体の説明をされてから、とても真剣にご飯を食べるようになった。
ほんとにこれが血肉になるんだ。あたしはそうやって生きていくんだ。

食べることは生きることなんだな、って思った。昔からきっとそうなんだけど。ああ、いろんな食事を蔑ろにして生きてきたなあ。


ジンさんにも食べるって生きることだと学びましたと伝えたら、素直でよろしいって言われたのでとりあえず単純バカは喜んでおきます。



「ジンさん」
「んー」
「あたし、除念とかはできないのかなあ」


ごはん食べながら聞いてみた。
最近はもっぱら系統別の修行をしているけど、やっぱりなかなか必殺技が浮かばない。

でもあんまり戦う念は使いたくないなと思った。別に戦いたくなんてなかった。
強くなりたいとは望んだけど、それは誰にも傷つけられないようにだ。ひとりで生きていける強さがほしかった。誰かを傷つけるために力を使うなんて意味がわかんない。どうせ念を使うなら、あたしはせめて誰かの役に立ちたい。



「…どうだろうな。お前のことだ、他人の念を自分の体に取り入れる、ってタイプの必殺技にしようとしてるんだろう」
「わかります?誰かを助けられて自分もオーラを蓄えられるなら、それが一番いいかなって思ったんですけど」
「いけなくはないと思うが、たぶん反動スゲーぞ」
「?」
「お前ぜんぶ念でできてるみたいなもんだって言っただろ。誰かが誰かにとどめるだけの念なんて尋常じゃない質量なんだ。念なんて思いの総量みてェなもんでもあるんだから、死ぬほど重い呪いみたいなもんに立ち会ってみろ。消化に時間がかかるどころか下手したら食いすぎて死ぬぞ」
「食いすぎ…?」
「例えばお前の念のベスト時を2000とするだろ。戦って1500まで減ったとする。あとの500は敵の念から補うのがベストだ。でもここに突然500000くらいのデケーやつがきてみろ、お前の体じゃこなしきれずに爆発だ。たぶんな」


言われてなるほどと思った。確かに。確かに爆発する気がする。無理だ。

すごい。あたしの念、っていうか体、死ぬほどめんどくさい。


「・・・困った」
「そうだな。頭からなんか出てるぞ」


ぶすぶすぶす…ショートした気がする。
念。念能力かあ。はあ。わかんないよ。ぜんぜんわかんない。

マンガの能力とかからパクったらいいのかな?どれが使い勝手いいんだろ。もうほんとわからん。BLEACHみたいに斬魄刀があって修行したらその技に辿りつける系システムだったらいいのに。始解とか卍解とかさあ。


いや別にあんなドンパチやりたくないけど。
なんていうか、そう、うーん…治す系の能力とか、治す、治す………あれ?



「前に水見式やったとき、あたし葉っぱも水もガラスもなくしましたよね」
「おう。念を自分の体に戻すためにな。」
「あれってどういう原理なんだと思います?」
「原理?」


あたしはいま飲み水をいれてるコップにてきとーに落ちてる葉っぱを浮かべて、発をした。
こないだと同じ順番で事が起こっていき、最後に消える………前に、念を止めた。



「…わかった。」
「ん?」


「あたし、エネルギーを自分の中にいれることでなかったことにしてるんだ!」
「…なかったこと?」
「はい!」


そう言いながらあたしは発を再開した。やっぱりグラスは消える。不思議な感じだけど、この理論がいちばんしっくりくる。自分のことだからやっぱりわかる。



「あたしは念ですべてできてるんですよね」
「おそらくな」
「たぶん他のモノもぜんぶ自分の念にしてるんです。物質とか、時間とか、誰かの念とかを、自分の念に再構築して吸収してるんです。だから、なかったことにできる。物質自体もだし…たぶん、時間の経過すらも」

「…曖昧でわかりにくいな。つまり酸化した銅があったとして、酸化するまでにかかった時間やら結合した酸素を自分のエネルギーに変えることで痕跡を消去して、もとの綺麗な状態に戻せるって感じか?」
「そう!それ!ジンさんさすが!それ!!!」
「チートだな」
「そうですか?」
「まあな。ほとんど神の領域だろそれ。…でもそれで間違いないと思うぞ。飯もたぶんぜんぶエネルギーに変換してるんだろ。昔はこんなに食わなかったっつってたよな?」
「はい」
「おそらく飯を自分の体の念に変える過程で、それなりに念を使ってるはずだ。
だから食ったら100の力が出るはずの魚を食ったとしても、それを念に変えるまでに30、吸収するのに30、ってな感じで消費してるから結局通常の4割くらいしか自分の身になってないんだろう。数字はテキトーだけどよ。」
「それあたしめっちゃ燃費悪いってことですか?!」
「おおクッソ悪いぞ。毎日死ぬほど食えよ」



食費…と絶望していたら、ハンターになって稼ぐしかないなとジンさんは笑い飛ばした。他人事だよほんとこのひとは。




「ってなわけで、ハンターになる必要性も見えたことだしそろそろ実践だな。ボディーガードの仕事取ってきてやったから行ってこい」
「へ?」


「今日の13時にセントラルツリー集合だから」

「・・・どこですかそれ」




「調べろ」




「あと40分しかないじゃないですか!!!!!」






慌てて目の前にある食べ物たちをとにかく流し込もうとしたら、ジンさんにバカにするみたいに笑われた。



「それでも食うのか」
「食うよ!!!!!」


さっき死ぬほど食えって言ったのアンタじゃないのかよ!!!とキレそうになりながらもあたしはすべてを平らげた。



「ゆっくり食わねえと喉つめるぞー」



誰のせいだよ!!!!!!!!!?

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