お前のこと甘やかしすぎかもなあ、なんてのほほんとしてるジンさんはもうほんとにいったいなんなのだろう。
あたしはごはんをかっこんだ後ものすごい勢いで近くの街まで行き、図書館で場所を調べセントラルツリーという街まで飛んだ。自分の念に何が合うのかがわからないのでとりあえず技はマンガとかのやつを拾おうと思って、試しにCCさくらちゃんが使ってる杖を具現化してみた。できた。そしてセントラルツリーは普通に遠かった。
いやでも結局どうしたらいいんだろう。自分の念のめんどくささはわかったものの、技だとか、戦いかたとか、なーんにもわかんないまま戦場にほっぽり出されてしまった。
ほんとどうしようあたしとっさの判断力とかないし。いっそもうこのままクロウカードみたいなのも具現化して適宜選んで戦っていくとか…うーんなんかそれもイマイチかなあ…別に変化具現化が強いわけでもないし…
困りながら歩いているとふとショーウィンドウに写った自分が目に入り、ガキんちょにしか見えなさすぎていやになった。あたしが依頼主だったらこんな子どもが来たら何かに訴えたくなるよ本当に…
・・・あ、薬局の試供品コーナーでちょっと化粧していこう。ごめんなまじで子供みたいなことして…。
第8話
はじめてのお仕事
「おー…」
まあ多少は老けれたかな。
マスカラでばっさばさの目を見ながら思う。
やっぱこの年齢じゃ化粧が似合わんな、肌めちゃめちゃきれいだけど。
そういえばきっと名前とかって変えたほうがいいよね?本名をノートに書くだけでひとを殺せる能力とかあったら困るし!
というわけで突然の設定ですがCATを名乗ることにした。さっきからあたし本当にテキトーだなっていうか投げやりだな…。
「はじめまして。本日はありがとうございます、CATと申します」
「ああ、今日はよろしく頼むよ」
1時から顔合わせで実際の仕事は5時かららしい。あいだの4時間は計画の確認だそうだ。
このひとが雇い主…なんかあれだ。マフィアって感じだ。いや仕事内容とか知らないけれども。聞かされてないし。
とりあえずこのひとを守ればいいらしい。一応あたしは治癒ができるので(たぶんだけどしたことないけど)近辺に置かれることになった。
遠くに置かれるひとはこの人物を狙ってきた輩を返り討ちにしないといけないらしい。
このひとが何者かよくわかんないけど、命を狙われる、かあ・・・
「(生きる世界が違うなあ)」
仕事は仕事と割り切って、それ以上の関わりは持たないようにしようと決めた瞬間。
仕事は余裕で終わった。本当に特筆すべき点もないくらい楽勝だった。
なんの攻撃も受けなかったせいで体力面ではマイナスしかない。
書斎で資料を読む雇い主が紙で指を切った際に治してあげたら飴くれた。それだけ。実はこれで数百万かせげほごほがは
ちなみに外はわりとたいへんだったらしい、ていうかけっこうドンパチ(死語だね!)やったらしい。
でもそれもたったひとりでほとんど終わらせたんだとか。8人警備した意味。
その話を雇い主の部下みたいなひとからへぇーって聞いてると、突然別の声がした。
「スマンがトイレはどこじゃったかな」
「え」
「ん?なんじゃじろじろ見て」
「ああ、御苦労様でした。お手洗いでしたらここを真っ直ぐ…」
「ゼノさん」
「お?どこかで会っ…」
「うわああああああゼノさんだああああああああ!!!」
なんて!こった!
ゼノさん!ゼノ・ゾルディック!ゼノフィリウス・ラブグッドじゃなくて!
ゼノさん!!!!!
(あっ生涯現役って書いてる!)
突然大声を出したあたしに雇い主の部下もゼノさんもぽっかーんとしてるけど、いやいやだってだってしょうがないよこれしょうがなくない!?
ゼノさんだよ!?!?!?
「なんじゃ。ワシのファンか」
「はい!」
「…冗談のつもりだったんじゃが」
「マジです!」
本当に信じられない高鳴る鼓動が収まらない。
「・・・。とりあえずトイレに行かせてくれんか。そのあとでなら話もするぞ」
「えっうれしい!ぜひ!!!!!」
変な娘もおるもんじゃと額を掻きながらお手洗いに向かうゼノさんの背中を見ながら、あたしは目を輝かせていた。
握手、しなきゃ…!