平穏無事
お風呂に入ったはいいもののぶつけた頭が痛すぎてシャンプーができなかった。なんとか体だけは洗って、浴槽に浸かれば緊張が解け、危うく眠りそうになった。溺れる前に気が付き、少しふらつきながら体を拭いて着替えた。
とりあえず飲み物を…と冷蔵庫を開けてスポーツドリンクを飲んだ。こちらの世界でも同じ味だ。名前ちょっと違うけど。
浴槽で少し眠りかけたからだろうか、目が冴えている。
眠るのにはやや早いし、ご飯はサンドイッチを食べてしまったし…と家の中を意味もなく徘徊しているとこちらの世界の私がつけていた日記を見つけた。
しばらく厄介になるのだから怪しまれないように、と心の中で言い訳をしつつ見てみると、どうやらこちらの世界の私は大学生らしい。
一浪して希望の大学に入り、それなりに楽しく毎日を送っているようだ。
大学へは真面目に通うとして(戻ってきた時単位落としましたなんてシャレにならない)、バイトはしばらく出られないことを伝えなければいけない。
今日は無理でも明日には連絡しないと。
本屋でのアルバイトは立ち仕事だろうから怪我が治るまで休みます、と。
貯金は通帳を確認したところ、定期的な振込があったので当分はそれを頼りにして、無駄遣いはしない。こちらの世界の私には両親がなく、叔母が育ててくれているらしい。なんとヘビーなんだ。
「なんか文字見てたら眠くなってきたな…寝よう」
なにはともあれ、この世界で平穏無事に過ごして、帰る方法をみつけよう。