ぐっぴーが にげた
パクが、死んだと聞いて、私は、死んでしまいたくなった。グッピーが三匹、水槽から融けるように消えてしまった、九月の頃である。
シャルナークが、"人間なりそこないが群をなして生活する場所に生活できるわけがないよ"と笑いながらくれた黒電話(一応、高性能らしいので、決して壊したり売らないように云われた)から、普段電子系の使わないようなノブナガが、酷く透明の酒のようなしめった声で「パクノダは死んだ」と告げた。九月の頃、中ごろに差し掛かるころだった。
じいん……、と染み入るようなミミズの鳴く声が、夜に、地面から伝わる。ぐうーっ、ぐうーっと魚の生命線の音とは違って、じりじりと緩やかにせつなく締め上げるような音だ。この音が何のものなのか、私は知らない。
パクノダと、近所のお祭り(とはいえ、私の故郷にそんなものは無いので、今住んでいるものだ)に足を運んだ際に得た金魚より美しく細くちいさな魚、グッピーのようにつとめて静かで、彼女が死に、死にたくなって、朝焼けが出てようやく、私は彼女と一緒にグッピーも消えたことに気付いた。フェイタンが、食べたのかもしれない。そう思わないと、私も消えてしまいそうになるのだった。
201910/07