大学の練習が始まって十日後。漸く大学の入学式だ。
 周りの同級生よりは大学の雰囲気に慣れたよね、なんて話しながらスーツに身を包んだ幸と同じ部屋の子と三人でアリーナに向かっているとぎゃあ!と聞き覚えのある声がした。
 何だと思って後ろを振り向くと、唖然としながら私を指差している鉄朗が居た。
「律!?」
 ウソでしょ…なんて呆然と思っていると、幸に名前を呼ばれ知り合いだと紹介する。
「ああ、どこかで見たことあると思えば音駒の?」
「音駒………、」
「ほら、一昨日見た試合で律にブロックアウト取られてた」
「ああ!」
「いや、覚えられ方〜!」
 二人は先に行ってるよと言って歩いて行ってしまった。
 私と鉄朗は顔を見合わせ、アリーナまで話しながらゆっくり歩くことにした。
「そう言えば、進路のこと話してなかったな」
「同じ学校だったらとか言っておきながら」
「はは、確かに。でもまぁ……嬉しいよ」
 鉄朗が喜びを噛みしめるようにそう言うものだから、私までなんとなく照れ臭くなってしまった。
「写真撮って研磨に送ろ」
「高校はまだ春休みだっけ?」
「おう。今日は一日練」
 当たり前のように研磨君のスケジュールを把握してるところも彼らしいなと思い、向けられたスマホのカメラを見る。
「学部は?やっぱスポーツ学科?」
「うん。鉄朗も?」
「いや、俺は政治経済学部」
「何だよ全然行動範囲違うじゃん」
「お、寂しいんですか〜?」
「そうだね」
「エッ」
 そりゃあせっかく同じ学校なのに普段授業で使う棟が違えばそう思うだろう。
「でもま、会おうと思えばいつでも会える距離だし」
「だな。
 練習とかめっちゃ見にいくから」
「来なくていいよ」



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