半年の留学から帰った私はリオデジャネイロオリンピックの選考会にギリギリ間に合い、無事に日本代表入りが確定した。
 今日はユニフォームを着て写真撮影と顔合わせ。そして記者会見だと聞いた。男子が午前で女子が午後に行われる会見の会場であるホテルには記者だけではなく協会や大会関係者も集まり、少し緊迫したような賑わいを見せていた。

 オリンピックの出場チームは男女共に十二カ国で、開催国のブラジルやワールドカップ一位の中国、二位のセルビアといった世界選手権でも上位に入る国ばかりだ。日本代表女子の世界ランクは現在五位で、今大会には大陸予選枠で出場することになっている。
 予選ラウンドは六チーム二つの組に分かれ、一回戦総当たり方式で順位を決定する。順位決定方法はポイント制で、勝敗数、セット率、得点率の優先順で決まる。予選で各組上位四チームの計八チームが決勝トーナメントに出場し、そこから準々決勝、準決勝、三位決定戦、決勝戦が行われる。

「大会的に、毎回男子から行われるのは仕方ないけど何だろう。
 こんなことってある??」
 会見前にお手洗いなど済ませておこうと控え室を出て通路を歩いていると、日本代表男子メンバーとバッティングした。
「櫻井さん!お久しぶりです」
「久しぶり、影山」
 真っ先に声をかけてきたのは中学時代からの後輩でもあった影山で、なんか昔より更に気迫が増したなぁなんて思った。
「調子はどうだ櫻井」
「普通」
「律さんも相変わらずだね……」
「ヘイヘイヘーイ!!元気か律!」
「木兎声量落とせ」
 男子で代表入りしたのは影山、若利、聖臣、木兎。宮侑君や桐生君もきそうな感じはしたけれど、そこはチームのバランスとか色々あるのだろう。女子の方も人間関係とかあるだろうし。
 そろそろ行かなければと思って「それじゃあ」と言おうとしたところで若利に名前を呼ばれた。

「待ってるからな」
「!」

 若利のその言葉に、私は高校最後の大会で彼と話したことを思い出した。彼はいつだって私の目標であり道だから忘れていたわけではないけれど、若利が覚えて、同じことを考えていることを嬉しく思う。
 他の面々は不思議そうに私たちの様子を見ていて、聖臣だけが煩わしそうに、呆れたような視線を向けていた。
 
 性別は違えど同じ歳で同じポジションの日本代表。会えば話すけれど決して戦うことはないライバルだった。
 それでも、まだ私は牛島若利に届かない。
 今回の私の背番号は十番。日本代表だろうが、オポジットだろうが、エースではない。

「必ず、追い抜いてやる」
「ああ」



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