『さよなら、青色。』の主演を務めますISLAND TV



「ども!」
「「「IMPACTorsでーす!」」」
「…ふはっ、」

基の掛け声でみんなグループ名を言ったのに、中心にいる晴は口を噤んでぺこぺこ頭を下げてた。
めちゃくちゃ緊張してる姿がカメラ越しに見えて思わず噴き出してしまう。

「今、滝沢歌舞伎ZEROの昼公演が終わったところなんですけど、こうやってカメラを回しております」
「はいはい!」
「めちゃくちゃ嬉しい報告がありまして」
「はいはいはい!」
「なんでかげがテンション上がってんの?」
「これはもう上がるしかないっしょ!」
「ほら、うめめ」
「え、私!?」
「うめめ以外誰が言うのさ」
「はいじゃあ梅田お願いします」
「はい、えー、えっと、6月から『さよなら、青色。』という舞台で主演を務めさせていただくことになりました!」
「いよ!」
「イエーイ!」
「やったー!」
「よっしゃー」
「おめでとう!」
「ありがとう!皆ありがとう!」
「ちょ、カメラに背中向けないで」

盛り上がってる俺らに嬉しそうに笑顔向けてくれたけど、カメラの向こうにいるPINKyに笑顔見せてくれよ。
基がテンパってる晴の背中に手を添えてカメラを向かせた。
あれ?

「晴、なんかほっぺた赤くね?」
「あ!そう、あのね、主演をやらせていただくって決まったのは本当にさっきで、夢かもしれないって思ってたら俊介が抓って、」
「え、基くんやっば」
「もってぃやってんな!」
「ひどいよ基くん!女の子のほっぺた抓るなんて!」
「痕が残ったらどうすんだよ!女の子だぞ!」
「ちょ、おい!お前らこんな時だけ異常に女の子扱いすんなよ!」
「今のは梅田の言い方が悪いわ。もってぃが悪者みたいじゃん!」
「ごめんごめんごめん!違うの!抓ってって言ったの私だから!」
「ほんとかー?」
「ほんとほんと!」
「傷つけないから」
「もー、話戻すよ」

大河の一言に見切れてた皆がカメラの画角に戻ってくる。
いつもの癖なのか隅に行こうとした晴をまた基がエスコートして中心に戻したのに、話かけた人の方を見ちゃうからカメラに映るのは横顔ばっかり。
もういいか、そのままで。

「どんな話なの?言える範囲で教えてよ」
「あのー、えっとですね、いろんな理由があって地方から上京した人達が東京に居続ける理由を探すお話で、東京に居続けるには戦う理由と戦う武器が必要なんだけど、それって本当に必要なのか?って問うようなお話です」
「……」
「かげ、今のわかった?」
「…絶対観に行く!」
「絶対分かってないじゃん!」
「なんか難しかったけど、めちゃめちゃ楽しみ!」
「武器とか戦うとか、ちょっと梅田っぽいよな」
「そう?」
「いっつも“勝ちたい”って思ってる梅田にはぴったりのテーマかもね。頑張って」
「ありがとう、頑張る」

画角の隅にいた横原と晴の視線が合って笑い合って、その言葉に俺らも納得する。
オーディションで掴んだ主演だ。
絶対に晴に合ってるし絶対面白い舞台になると思う。
4月5月は滝沢歌舞伎ZERO、6月から晴と大河の舞台、それにキスマイさんのツアーバックもある。
グループ仕事も個人仕事も本当に嬉しい。

「あ、そうだ、大事なこと言い忘れてた」
「なに?」
「あのね、この舞台ダブル、」
「ちょ、それ俺じゃなくてカメラに向かって皆に言って?」
「ごめん。えー、大事なことなんですが、今回ダブルキャストです!私と永岡楓さんが主演を務めさせていただきますので、これからチケット情報とか出ると思うのですが、注意してください!」
「ダブルキャストなんだ?」
「そう!私が出る日に来てほしいけど永岡さんの回もすごく素敵だと思うからそっちも見てほしい気持ちもある、んだけど皆は私が出る日に絶対来て…!」
「なに今の、ややこしい」
「大丈夫、大丈夫、梅田が出る日に絶対行くから」
「新、ちゃんとうめめが主演の日に行けるかな…」
「誰か一緒に行った方がいいんじゃない?」
「え?どういうこと?主演だからいつでもいるでしょ?」
「まずダブルキャストが分かってない」
「俺、新と一緒に行くわ」
「うん、そうしてあげて」

公演によって演者が変わるダブルキャスト。
俺は経験したことないけど、同じ役を務める人と切磋琢磨できるし演者が変わることで舞台の雰囲気が変わる。
コロナ対策って意味もあるかもしれないけど、掴んだチャンスの大きさは計り知れない。
動画の締めの挨拶を晴にお願いすると、キラキラした目で笑った。

「初主演ということで、がむしゃらに、とにかく一生懸命頑張りますので、『さよなら、青色。』ぜひ観に来てください!」
「以上!」
「「「IMPACTorsでしたー!」」」




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