最年長トリオでISLAND TV



少し早く到着してしまった事務所。
なんか面白いこと起きないかなーって思ってISLAND TVの動画を回すと、大きいリュック背負った梅田が部屋に入ってきた。

「梅田」
「あ、おはよう。なに?ISLAND TV?」
「そう。なんか面白いこと起きねえかなーって。ファンの皆さん、梅田が来ました」
「横原いつもそれ言ってるけど面白いこと起きたことなくない?」
「そんなことないわ。梅田なんかやってよ」
「つーばきばき!」
「人のやつ。しかもちょいバカにしてるっしょ」
「してないし、椿くんのものは私のものだからいいの」
「それつばっくんに言っちゃうよ」
「やめて。椿くん先輩なんだから」

俺が常にカメラ回してるからもう気にしなくなったのか、梅田は俺を無視してリュックを下ろした。
ドンって大きな音が鳴ったから、片手あげてごめんって仕草をしてる。
そこもばっちりカメラに収めておこう。

「梅田っていっつもリュック大きくね?何入ってんの?」
「いろいろ。大学の教科書とかiPadとか」
「…iPadってISLAND TV的にいいのかな?」
「え、商品名ってアウトだっけ?」
「わかんね」
「セーフじゃない?」
「おはよー」
「あー、おはよう」
「もってぃいいところに」
「ねえねえ、iPadってISLAND TV的にアウト?」
「なんの話よ」

急に質問されてもってぃは目丸くしながらも梅田の隣に荷物を下ろした。
どう思う?アウトかな?編集しないといけないかな?って聞いてる梅田とうーんって真剣に考えてるもってぃを撮りながら、気付く。

「てか最年長トリオじゃん」
「あ、ほんとだ」
「1番歳いってる3人ね」
「大人って言ってよ」
「俺ともってぃはそうだけど梅田は違う。めっちゃ童顔じゃん。同い年には見えん」
「ひど。もう怒った。横原とは一生話さない」
「俺の罪重くね?」
「梅田、仲間外れ嫌いだよね」
「嫌いだね」
「ごめんって」
「許す」
「早!」
「あ、ねえ、せっかくだし横原も写ろうよ。自撮りにして?」

カメラをパパっていじってインカメに変える。
梅田ももってぃも俺より身長が低いから、なんとなくいい感じに上目遣いになって可愛いかも。

「はい、最年長トリオです」
「大人の魅力めっちゃあります。本当です。嘘じゃないです。事実です。本当にあります」
「自分で言うと悲しくない?」
「悲しい」
「あははは、悲しいんかい」
「じゃあ言うなって」
「3人揃って撮るの珍しくない?初めて?」
「あー初かも」
「梅田が逃げてるからでしょ?動画苦手だよね」
「基本、カメラ苦手だからね」
「それはもうあなたアイドルとして致命的だよ」
「アップで撮ったる」
「うわ!やめてよ!」
「ほれほれー」
「やめて!横原!」

嫌だって言いながらもってぃの後ろに隠れる梅田を追いかけてると、最年少の2人が部屋に入ってきた。
きゃっきゃしてる最年長トリオ見ながら、最年少の奏がじーっと見てくる。
そっち撮った方が面白そうだから、梅田じゃなくてあらみなを画角に入れた。

「何してんの?」
「オチのない動画を撮ってる。新締めてよ」
「俺?」
「無茶振りじゃん。うめめ締めてよー」
「無理だって」
「うめめやってくださいよ」
「梅田締めてー」
「横原が始めたんだから横原締めてよ」
「あ、横原くん、また椿くんに怒られますよ」
「え、なんで?」
「梅田って呼んでる」
「あー」
「せっかく椿くんがあだ名つけたのに」
「そうだぞ。横原気をつけろ」
「もってぃも梅田って呼んでたじゃん!」

つばっくんがつけたあだ名、俺ともってぃには全然浸透しないな。
仕方がないよね。
うめめより梅田の方が呼びやすいし。

「はいみんな集まってー、締めるよー」
「奏カメラに近い近い近い」
「ファンの皆さん元気?」
「新もおいで」
「うん」
「はい以上―?」
「もってぃと新と奏とうめめでしたー」
「最年長トリオと最年少コンビ!」

締まったか?
締まってないか。
俺ら、ゆるい動画ばっかりだな。


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