モノクロリフレクション07



「はい」
「ん、これなに?」
「お詫び的な?」
「お詫び?横原になんかされたっけ?全然心当たりないよ?」
「じゃあありがたく受け取って」

なんのこと?って顔で渡したコンビニのケーキをまじまじと見つめる梅田の正面にトレーを置いて座った。
今日もケータリングは美味しそうだけど目の前でこんなに盛られたごはん食べてるやついたら、新が食欲無くすのも理解できる。
梅田は身に覚えのないケーキだろうけど、俺としてはこれで罪滅ぼしになったらいいな、なんて狡賢く思ってる。
ジュニア祭りで梅田がお手伝いとしてしか呼ばれてなかった件は元々俺しか知らなかったし、そもそも俺も知るべきことではなかった。
勝手に他の奴らにもバラしてしまったわけで、梅田としては不本意だっただろう。
まあ、梅田本人の様子からして俺がバラしたこともみんなが知ってることも知らないんだろう。

「なんかよくわかんないけどありがたくいただきます!」
「あ、フォーク忘れた」
「えー、よこはらー」
「フォーク使う?」
「ありがとう!」
「もってぃナイスタイミング」
「いいの?俊介使わないの?」
「箸あるから大丈夫」
「……」
「横原?」
「ガン見しないで、怖いよ?」
「なーんか、2人が並んでんの久々に見たわ」

揶揄い半分、本気の安堵が半分。
ぱちくり瞬きしたもってぃは梅田の隣に腰を下ろして、何食わぬ顔で箸を持って食べ始めた。

「仲直りしたんでね」
「したんでね」
「よかったーまじで。一生梅田が般若みたいな顔でガチギレしてんのかと思った」
「そんな顔してない」
「してたわ。もってぃはもってぃで捨てられた子犬みたいな顔してたし」
「してませーん」
「俺らまじで心配してたからね」

雑な弄りにもあはははって笑い合えるような関係に戻ったらしい。
よかった、ほんとに。
2人がギスギスしてんの初めてだったから俺らもどうしたらいいのかわかんなかったし。
笑い声が聞こえてたのか、他の奴らも集まってきてテーブルが一気にぱんぱんになっていく。

「あ、新ー!こっちおいで?唐揚げあげるよ」
「え、いいの?食べます」
「うめめ、まさかこの前の春巻のかわり?」
「そう。奏も食べる?」
「うめめが食べ物くれるなんて逆に怖いからいらない」
「それはめちゃめちゃ同感」
「2人とも、私のことなんだと思ってんの?」
「うめめが適量食べてるだけで安心だよ。よかったね仲直りできて」
「梅田が適量食べてるってことはメンタル安定してるってことだから」
「食べる量で測られてんの?」
「わかりやすくていいですよね」
「みんな本当になんだと思ってんの?」
「あ、春巻もらいまーす」

ムスッとした顔しても口いっぱいに頬張るからまるでハムスターみたいにもぐもぐ口が動いてる。
その様子をじーっと見てた影山くんはいつも以上に大きく口を開けて笑った。
ニカって、さながら物語の主人公のように。

「やっぱり晴も基も笑ってる方がいいな!俺はそういう2人が好きだぜ!」

出たよ、圧倒的主人公。



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