天使の褥
※「ここは春の国」の宣戦布告がなかったルート
友人にまんまと宅飲み合コンに連れて行かれた真琴は、その場をなんやかんや辞すとオシリスメンバーのクリスマス会の方へと合流した。
もう既に酒が入っているせいもあり、真琴が着いた時には、鈴火は進と京の間に座りつつとろんとろんな酔い顔で、やって来た真琴に対しまこ〜なんて言いながら手を振っていた。
「もうそんなに飲んでるんですか?」
「あー、違う違う、ベルは下戸なだけ……まあそのくせ飲みたがるからすぐこうなんだよな。」
那由多と並んで飲んでいたレイの言葉に、なるほどと納得しつつ空いた席へと腰を下ろす。
「那由多はザルなんだけどな……、ま、小母さん似だよなベルは。」
進がそんなことを言う合間に、鈴火は飲んでいたグラスが空になったのを見て明るい声でおかわりー!と叫ぶ。
「あんたそろそろ控えなさいよ。」
「え〜〜、ヤダ〜〜!!いちごのお酒もっと飲むー!!」
そんなこんなで結局鈴火はその後二杯のおかわりをし、そろそろ解散という頃には気付けば真琴の膝を借りてすやすやと寝息を立てていた。
「鈴火さん、起きてください。」
「んー……、」
「いいわよ来栖くん、どうせそうなったら起きないから。」
「つかどーするこれ?ベルこうなったらマジで起きねぇぞ?」
「あー……此処から家近いの誰だ?」
流石にこのまま連れ帰るのは難しそうだと判断した進は、そう言って周りを見回す。
「……僕は近いと思いますけど。」
「んじゃ、まこっちゃんに頼むかー?」
「いいの?来栖くん……こうなると本気で朝まで寝てるだけだから手間はかからないとは思うけど……、」
そんなことを言いつつも、結局その日は真琴の家に一晩任せ、明日に進が迎えに行く事に決まり、真琴の家まで二人を送るとそのまま解散となった。
「んっ……、」
アラームの音で目を覚ました真琴は、寝起きで霞む視界でそれを止め、そして一息ついてから思い出したように隣を見やる。あの後本当に一度も目覚めず、鈴火は眠り続けていた。
「鈴火さん、そろそろ起きてください?」
「……んぅ……?」
体を軽く揺すり、そう声をかければ鈴火は眠たげな目を擦りぼんやりと真琴を見やる。それを見れば、真琴は何か食べますかと声をかけるも、鈴火は寝ぼけたまま真琴に軽く抱き着く。
「ちょ……っ、と……、鈴火さん?」
「まだねるー……、」
「……そろそろ、進さんが迎えに来ますよ?」
「んー……、」
ようやく布団から起き上がった鈴火を、真琴は洗面所へと連れて行ってやり顔を洗わせているうちに呼び鈴が鳴った。
「ベルー、迎えに来たぞー。」
「はーい!」
「一晩、悪かったな真琴。」
「いえ、」
「じゃ、行くか。」
「んー……またねー、まこー。」
「ええ、また。」
進の声に鈴火はぱたぱたと駆け出し、そのまま腰の辺りにぎゅうと抱き着く。そんな鈴火の頭を撫でつつ、真琴へ進がそう言えば真琴は緩く首を振り二人を見送った。
「……はぁ。」
二人が帰ったのを見送り、そのまま真琴は小さくため息を漏らす。
鈴火の距離は、とても近い。彼女の視線の先にいるのは進だと分かっていても、どうしても意識が向いてしまう。
「……ほんとうに……困った
その夜、布団からの鈴火の残り香に悩まされるのはまた別のお話……。
END
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作成:18/1/10
移動、改題:20/8/31