いじわる

「あーもう!」

栞那はそう漏らしてどさりとソファに腰を下ろした。今いるのは日本の空港だ、彼がクリムゾンの開くバトルロイヤルに参加するために日本へいくというので、栞那もついてきたのだが、飛行機を降りて荷物を受け取ったのと同時にいなくなってしまったのだ。

(すーぐいなくなっちゃうんだもんな〜……困った……。)

そう思いつつ、懐からスマホを取り出した。一応彼にも持たせているのだが、連絡はない。宿泊先は彼が決めたので、彼が来ないことには移動ができない。

「もー……ホテルぐらい教えておいてよ〜……。」

そんな事を呟いたのと同時に、手に持っていたスマホが震える。はてと画面を見ればラファエルの文字。それを見て慌てて通話ボタンを押した。

「ラファエル?どこにいる?」
『キョウの職場の側の公園だ。』
「ああ、あそこ……って、もうそこまで行ったの!?早いよ!!え、そっち行けばいい?」
『……そうだな、待っているから来てほしい。』
「わ、わかった……。」

そう言って電話を切ると、栞那はキャリーバッグを引っ張りながら空港から出て、タクシーを捕まえると彼の言っていた場所へと急いだ。
言われた場所へたどり着けば、一息をついてからぱたぱたと公園内へ駆け込む。ベンチに座るラファエルを見て、栞那は安堵の息を漏らした。

「もー、すーぐいなくなるんだから〜!」
「すまない、カンナ……まずはデュエルがしたかった、からな。」

それに肩をすくめると、タクシーを待たせてあるからとラファエルと連れ立って公園を出た。

「どうだった?」
「……ああ、以前よりずっと強くなっていた……。」

そんなラファエルの横顔を見て、苦笑を浮かべつつ栞那はため息混じりに呟く。

「そーんなに気にかけられてると妬けちゃうかもー。」
「……?」

不思議そうな顔をし、ラファエルはそんな栞那の肩を抱き寄せ、唇を耳元に寄せる。

「愛しているのは君だけなんだが…。」
「……も〜〜〜〜!!!すぐそういう事言う!!!」

顔を真赤にしながらぽこぽこと叩いてくる栞那に、ラファエルはにこりと笑って言葉をつなげる。

「嫌だったかな?」
「……嬉しい、です。」

ぐうの音も出ないと言うふうに口をつぐむ栞那に、ラファエルは満足気に笑って額へ唇を触れさせる。

「……でも何も言わないでいなくなるのはやめてください……。」
「ああ、善処する。」
「善処で済まさないでください〜!!」

END
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作成:18/3/30
移動:20/8/31

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