今度までには

爆音が聞こえる。
ジャンヌが見ている前で、ダンテは敗北を喫した。それでも、今は逃げなければならない。ダンテとジャンヌは、彼がチューナーとして連れてきた見習いと呼ばれる人物を呼ぶが、彼女は自分のせいで彼がまけてしまったことで、ショックを受けているためか、微動だにしない。

「っ……!」

ちょうど、その上から大きな瓦礫が降ってきた。それを見ると、彼はその元へと駆け出し、それと同時にジャンヌも共に走り出した。二人で見習いをかばったことで、体を強い衝撃が襲う。肩からどろりとした赤黒い体液が溢れた。

「……バカ、お前までかばうことないだろう。」
「……体が動いたんだから仕方ないじゃないですか。」

ずきずきと体が痛むが、彼の言葉にふっと笑う。そして、未だ立ち止まっている見習いへ、早く言うように促す。

「……ジャンヌ、お前も行け。」
「……いいえ、今回は行きません。」
「……ジャンヌ、」
「15年、待ったんですもの。……今度は離れません、ダンテ。」

瓦礫が降り注ぐ中、ジャンヌは穏やかに微笑んで彼を見上げる。

「今度はずっと、一緒です。」

そんな彼女をダンテは抱き寄せ、二人の姿は瓦礫の彼方へと隠れた。



「ラファエル……!!」

栞那の声がこだまする。そんな彼女を引き寄せ。ラファエルはその髪を撫でた。

「カンナ、そんな顔をしないで。」
「でも……。」
「それと、ここにいると君も墜ちる、キョウたちの方へ……、」
「……だめ。」
「カンナ?」

彼女をステージからおろそうとするラファエルに、栞那は強く抱き着いた。

「ずっと一緒にいる、約束したもの。」
「だが……、」
「いいの、だって好きな人と一緒なら、それでいいじゃない。」

その瞬間、足元の感覚が消え一瞬の浮遊感とともに下へ下へと落ちていく。そんな栞那の体を、ラファエルは強く抱き寄せた。栞那は抱きしめる彼の服をぎゅうと強く握る。
終焉は、すぐそこまで来ている。

END
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作成:18/4/24
移動:20/8/31

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