Romantic Now

シュウジは自宅の側の公園を覗いていた。いつもはここに、従妹で現在同居中の美緒がブランコを漕いで自分を待っているのだが、今日はいない。まさか誰かについていったのではと携帯を取り出し、手早く連絡をする。1分も待たずに返信が来て、部屋にいるという旨が記されていた。取り敢えず安心したシュウジは公園を後にし、自宅へと戻る。

「ただいま……。」
「シュウちゃん、おかえりなさーい!」

台所の方から、ぱたぱたと小走りで制服の上にエプロンを付けた美緒が飛び出してきた。そして、そのまま自分に抱き着いてきた。

「……何してたんだ?」
「え?明日のお弁当作ってたの!」
「……?お前の学校は給食制じゃなかったか……?」
「明日はお弁当の日なの!」
「そうか。」

そう言いつつシュウジは一度自分から美緒を引き離し、着替えてくると言って部屋へと入った。

「……はあ、全く。」

いつも思うが、14にしては美緒は色々幼い。そんな状態だから、小さい頃と変わらないつもりで接してくる。

「……最低でもあと4年は待たないといけないんだが……。」

そんなことをブツブツと呟きつつ着替えを済ませ、部屋着を身にまとうとリビングの方へと向かう。すると、美緒は台所でまだ何か作業をしていた。

「どうした?」
「んー、材料、余ったから……シュウちゃんにも、サンドイッチ作ってあげようかと思って。」
「あー……。」

時間を見ると、そろそろ食事を控える時間に差し掛かっている。が、いらないというとものすごくしょぼくれるのもわかっている。軽く頭を掻いてから、「もらう」と短く答えてソファに腰掛けた。

「飲み物はお水〜?」
「ああ。」
「はーい。」

そう返事をしながら、美緒はサンドイッチと水を運んできてシュウジの前に置いた。一切れ手に取り、それを口に運ぶ姿を美緒はじっと見ていた。

「……そんなに見られると食べづらいんだが……。」
「……美味しい?」
「……ああ、腕を上げたな。」
「えへへ〜。」

にこにこと嬉しそうに笑う美緒の頭を軽く撫でてやると、その手に美緒は猫が擦り寄るようにすりすりと頭を擦り寄せる。彼女が小さい頃からよくやっている行動だが、それがやはり心の底の欲の端っこを刺激してくるようで、暫く撫でてからゆっくりと手を離した。

「ねー、シュウちゃん。」
「なんだ、」
「……んーん、なんでもない!そろそろ寝るね。」
「ああ。」

彼女は、元々彼女の実家から学校に通っていたが、今はここからだ。通えない距離ではないが、電車で暫く掛かるためいつも早めに寝ていた。

「寒くないようにして……、」

そう言いかけたシュウジは一瞬固まる。目の前に美緒の顔があって、鼻先に柔らかな薔薇色の唇が触れた。

「えへへ〜……おやすみなさい!」
「あ……ああ……。」

嬉しそうな様子でリビングを出て、シュウジの部屋の隣の、現在彼女の部屋になっているそこの扉がぱたんと閉じる音を、シュウジは固まったまま聞いていた。

「……くそ。」

そう言うと、水の入ったグラスをぐっと煽って水を一気に飲み込む。

(……我慢できなくなったらどうするつもりだ……。)

END
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作成:17/9/22
移動:20/8/30

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