愛してるゲーム

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「……カ、カントクも鬼だな。めちゃくちゃ楽しそうだぜ〜……」
「見ろよ佐藤の顔……この世の終わりってくらい沈んでんぞ」
「なぁ、何で佐藤はあんなに死にそうな顔してるんだ?」
「はぁっ!? おまっ、気付いてなかったのかよ!?」
「気付いてないって?」
「あのな木吉。佐藤は火神の事が好きなんだよ」
「えっ、そうだったのか」
「お前マジで気付いてなかったのかよ! 他に気付いてないヤツなんて火神本人だけだと思ってたわダァホ!」
「まぁ……だから本当に好きなヤツ相手に愛してるなんて言わなきゃいけないからな、そりゃ死にたくもなるだろ」

 まさにその通りなんですよ土田先輩……!!
 好きな人に告白すら出来てないのにいきなり色々すっ飛ばして愛してるって言わなきゃいけない状況とは一体何なんだ!? 心臓が破裂しそうなくらい緊張してて本気で死にそうなんですけど……!
 て言うか日向先輩に伊月先輩、改めて教えるのやめて。木吉先輩もそうか、火神の事が好きなのかなんて真顔で口に出して復唱しないで下さい恥ずかしすぎて溶けて無くなりたいです。
 て言うか皆にバレてたのかよー! もうバスケ部に遊びに行けないよー!

「……おい。始めねぇのかよ」
「えっ!?」
「さっさと終わらせてーんだけど」
「ハ、ハハ……そうだよね……火神君て、そう言う人だったよね……」

 私が火神君を好きだってことに微塵も気づいてないって事だよね。別の意味でヘコみましたよ今のは……あれ、どうしよう。泣きそう。

「あちゃ〜……何にも気付いてないのね。全くもう、バスケ以外からっきし、本当にバスケバカなんだからアイツはぁ〜」
「火神君て本当に疎いですよね、こう言う事に関して」
「いつだかの桐皇の桃井に対してもアレだったからなぁ」
「むしろ付き合ってるなら未だしも、そうじゃない女子が男子に愛してるなんて言うこと自体かなり勇気がいる行為だぞマジで……」

 あれ、もしかして……私って黒子君に騙されてノコノコ来ちゃったってやつ……?
 黒子君も知ってるからね、私の気持ち。
 こんなゲームをやってるときに呼ばれたし――やられたなぁ……火神君に会えるかも〜、なんてノンキな事考えてたからこうなったんだろうな……と言うわけであとでジュース奢ってもらうからね黒子君!!
 腹を括った私は改めて火神君と向き合った。この調子だと火神君は私の気持ちに気付くことはまだまだあり得なさそうだし……。
 火神君の後ろの窓から差し込む夕陽が眩しくて思わず目を細める。やっぱり格好いいなぁ。本当、悔しいくらい。

「……よし。始めようか火神君」
「おう。オレはいつでもいいぜ」
「……じゃ、じゃあ……あ、あ、愛して、る」
「もう一回」
「うう……愛し、てる……」
「もう一回」

 何これ。火神君の表情が全く変わらなくて私の心が折れそうなんだけど……こんなに微動だにしないのに何で黒子君に負けたの!? もしかして私の魅力って黒子君以下!?
 そもそもまず性別が違うんですがそれは……どうしよう本気でちょっと涙出てきた。

「……愛してる」
「……もう一回」
「……す、好き、です……えっ!? あれ!? 私何て言った!?」
「っ……もう一回」
「スルー!? ええっと……あ、愛してる」

 あまりのショックに無意識に好きと言う言葉が吐いて出てしまって焦ったけど、火神君はやっぱり動じている様子もなくて先に私の心がポキッと折れたのが分かった……。

「もう一回」
「あいして……って、もう無理ー!!」
「ちょっ、はぁっ!? おまっ、何で泣いてんだよ!?」
「あぁ〜! ゴメンねこはるちゃん〜!」
「火神君……ひどいです」

 あまりにも火神君が表情を崩さなすぎて私の方がギブアップしてしまった。ここまで響かないって事は火神君が私の事別に何とも思ってないって事でしょ!? 告白する前に失恋が決まればそりゃ泣きたくもなるに決まってるじゃんかバカヤロー!
 堪えきれなくなって思わずベンチに突っ伏し泣き出した私の元に先輩達が駆け寄ってきてリコ先輩に抱き締められた。

「お前もう少し焦るとか空気読んでリアクションしろよ!」
「なっ、ちょっ、これってそう言うゲームだし、何でオレが悪いみたいになってんだよ!? ですか!」
「まぁ……どっちかっていったら火神が悪いからな」
「うんうん」
「なっ……マジ意味わかんねぇ……」
「女の子が男に愛してるなんて言葉を言うのに勇気が要らないわけないだろう? 佐藤は泣くほど勇気を振り絞ってお前に愛してるって伝えてたんだぞ」

 あれ……何か、大事になってない……?
 言ってしまえばたかがお遊びゲームが原因なのに……情けなさすぎるわ。涙を拭いながら火神君を見てみれば、先輩達からの集中砲火を受けていてむしろ私よりずっと可哀想な状況にいる。

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