猫茶日和 > MY HERO ACADEMIA > 家族の意味
「ね、相澤先生って家だとどんな感じなのー?」
ないないに突然話しかけられたのは、夕飯も終わって共有スペースでのんびりしていたときだ。
つゆちゃんとぷかぷかが話してるいる横でぼけーっとしてただけなのに、なんで。
「どんな感じって、普通。あんな感じ。」
「えー!でもさでもさ、やっぱり一緒に暮らしてるんだから違う一面とかもあるんじゃない!?」
「ご家庭のことをお聞きするのはいかがでしょう…?」
「でも気になるじゃーん!」
気付いたらピンクもふくいいんちょーもいた。どんどん増えてく。
みんなわくわくの匂いするけど、なんでそんなに楽しそうなんだろう。
「でもこんな言い方おかしいかもやけど、相澤先生って平等やね。特別扱いしてる感じせぇへんもん。」
「確かにそうね。猫ちゃんの保護者って知ってても忘れちゃうくらいだわ。」
「授業参観とかってどうだったの?」
「学校行事は全部来てくれてた。」
「え!?いがーい!」
「不審者と間違えられなかったー?」
「ヒゲも剃ってたしスーツ着てたよ。」
「ええーーーーー!?」
そんなに意外かなあ。
「消にぃはいっつもあたしのこと優先してくれるから。」
弱いあたしのことを受け止めてくれた。
「忙しいのにね、あたしと一緒にいてくれるんだ。」
「そっか。」
「やっぱり、黒井さんは相澤先生の特別なんですね。」
「…そうかなあ。」
あたしの特別は消にぃだけど、消にぃにとってあたしは特別なのかな。
「消にぃにとって、生徒みんな特別だよ。」
なんでだろ。いいことだしあたりまえのなのに、ちょっともやもやする。
「猫ちゃん、どうかした?」
「なんで?」
「しっぽが垂れているわ。落ち込んでるのかと思ったの。」
「わかんない。どうなんだろう。」
つゆちゃんが心配してくれるけど、なんでこんなにもやもやするのかわかんない。寮にもはいったのに、まだ親離れできてないのかなあ。
「さて!そろそろ寝ないと明日に響きますよ!」
「そうだねーそろそろ寝るかあ!」
「今度はみんなの恋話しようー!」
「恋バナっていうと、まいちゃん?」
「菊ちゃんと爆豪のところも気になるよねー。」
話は尽きないまま共有スペースを出て、おやすみを言いながらぞろぞろと部屋に戻っていく。
賑やかだったのに、部屋に戻ったら急に静かになって、ベッドの上にいる猫の抱き枕にダイブする。部屋にあるものは消にぃのせいで猫ばっかりだ。
「しょーにぃ…。」
わかんないことはいつも消にぃが教えてくれたけど、これも消にぃだったらわかるのかなあ。
寮生活はじめてこんなことなかったのに、急にぐるぐる考えはじめちゃって。
これからずっと相澤せんせーなのかな。もしかしたらもう消にぃじゃダメなのかもしれない。
…あれ?でもなんで相澤せんせーじゃだめなんだろう。
「んー…?…………っわ、」
頭を捻ってる間にケータイが鳴る。この音は電話だ。こんな時間に誰だろう?
「もしもし。」
「マオ、遅くにすまん。」
「…相澤せんせー?」
「?そうだが…分かって出たんじゃないのか?」
「表示見るの忘れた。」
「なにしてんだ。」
消にぃの声がするだけで、さっきのもやもやもぐるぐるも少しずつなくなってく気がする。なんでだろう。すごい。
「どうしたの?」
「ああ、今週の土曜日に外出許可をとってくれないか。エリちゃんの外出用の服を買いに行くのに付き合ってほしい。」
「ん。わかった。怒られた?」
「一度買って持って行ったら看護師に止められた。」
「怒られなくてよかったね。」
「ああ。」
明日にでも外出許可証を出しに行こう。人選があたしでいいのかはわからないけど、消にぃひとりよりはマシだと思う。少しでもかわいいのを選ぼう。エリちゃんならなんでも似合う。みんなにもどんな服がいいのか聞いてみよう。
「で、だ。」
「なに?」
「なんかあったか?」
「え?」
「部屋にいる時間に先生呼びするのもめずらしい。し、声に元気がない。」
「…なんでわかるの?」
「どんだけいっしょにいると思ってんだ。わかる。」
すごい。消にぃの言葉だけで嬉しくなれる。魔法使いみたいだ。
「あのね、なんかね、消にぃって、もう呼んじゃだめなのかなって。」
「…なんだそれは。」
「あたしもよくわかんない。だけど、もう相澤せんせーで、消にぃじゃないのかなあって思って。もやもやしてぐるぐるしてた。」
「ばかかお前は。」
「…ばかじゃないもん。」
ばかって言われた。結構ちゃんと悩んだのに。ひどい。
「学校では確かに生徒だと思って接している。だが、今までの関係がなくなるわけじゃない。」
「んー…。」
「マオはこれからも家族だ。」
「ん。卒業しても、いっしょ?」
「お前が望むなら。」
「…えへへ。消にぃ、だいすき。」
「ああ。」
消にぃと電話で話してたら、なんとなくいつもベッドに忍び込んでたときみたいな気持ちになってきて、いっしょにいるみたいに思えてくる。なんだか安心するなあ。
「おい、寝るならちゃんと布団かけて寝ろ。」
「うん…。」
「ったく…。おやすみ、マオ。」
「おやすみ、しょーにぃ…。」
きっと今日はいい夢がみられそうだ。
weitten by にゃぽん
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